環境感染
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安全装置付き翼状針および静脈留置針の経年的な針刺し防止効果の評価
井川 順子竹下 麻美橋本 陽子飯沼 由嗣一山 智
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2005 年 20 巻 4 号 p. 259-263

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抄録

当院における安全装置付き針刺し防止器材の経年的な針刺し防止効果の評価を行った. 当院では2000年より安全装置付き器材の導入を行っているが, 翼状針においては, 安全装置なし器材を使用していた1999年と比べて導入年には10万本使用あたりの針刺し発生率は12.4から5.0へと有意に低下したが, その翌年には再び7.0へと上昇し有意差はなくなり, その後更に安全と考えられる器材の導入も行ってもほとんど変化はみられなかった. 静脈留置針は2000年に安全装置付き器材が導入となり, 当初Activeタイプが, 次にPassiveタイプの器材が用いられたが, 病院内での使用率は40%を越えず, 安全装置なし器材と比べて有意な針刺し発生率の低下もみられなかった. このため, 更に使用感が良好なPassiveタイプ器材を導入したところ2004年には使用率は84%に達し, 針刺し発生数は0件となった. 発生率の比較では, 安全装置なし器材 (10万本使用あたり27.6) と比べて有意に発生率が低い結果となった. 静脈留置針全体でも2000年の8件から2004年では3件と62.5%の減少となった. PassiveタイプはActiveタイプよりも安全かつ導入が容易な器材と考えられ, 安全装置付き器材の選択の際には優先的に考慮すべき性能と考えられた.

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