手洗いは病原微生物の拡散をコントロールするだけでなく, 感染を防ぐ有効な手段である.本研究では, 家庭内での手洗いの除菌効果を小学生とその家族における日常的手洗い法と衛生学的手洗い法で比較した. 手洗い前の手指の細菌数は小学生 (153.6±36.3) では親 (1219.9±763.6) に比べて有意に少なかった (p<0.05). 児童と成人で水洗による菌数の減少はなかった. 成人では石けんによる手洗いで細菌数が減少した. 衛生学的手洗いは児童および成人で効果があった. 家庭内では風呂場, 調理台などから多数の細菌が検出された. 以上の結果から, 適切な手洗い法によって, 手の表面の細菌数をコントロールできることがわかった. 感染性疾患の家庭内伝播の防止に成人の手洗いおよび生活環境の改善は効果的である.