環境感染
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抗菌薬適正使用を目的としたカルバペネム薬の使用許可制導入
小野 祐志上田 恒平渋谷 豊克徳永 康行清水 潤三東 孝次
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2007 年 22 巻 4 号 p. 286-293

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抄録
多剤耐性菌の出現は広域スペクトルの抗菌薬の乱用や長期間の使用が影響している. そのため, 抗菌薬の漫然とした使用を制限することが必要である. 当院では, 2005年12月からカルバペネム薬の使用許可制を導入し, 抗菌薬の適正使用に関する情報提供を積極的に行なった. その結果, カルバペネム薬の使用量は2005年には12,993本であったが, 2006年では4, 815本と有意に減少 (p<0.01) した. さらに, 緑膿菌のimipenem (IPM) 耐性率は12.5%から6.6%に減少 (P<0.05) し, 多剤耐性緑膿菌の検出率は3.0%から1.3%に減少した. このように, カルバペネム薬の使用制限により顕著にカルバペネム薬の使用量が減少し, 耐性菌の検出率を低下させることができた. また, カルバペネム薬の投与方法は1回2本を1日2回投与や1回1本を1日3回投与する方法が増えるなど, PK/PD理論的に有効な投与方法が増えた. このように, 使用制限だけでなく適正使用を促すシステムの有用性は高いといえる.
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© 日本環境感染学会
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