環境感染
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ナース・シューズの底に付着したMRSAの除菌方法の検討
渡部 節子井原 育子奥田 研爾
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1994 年 9 巻 3 号 p. 44-48

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抄録

院内感染予防の一つとしてMRSAの病院内での伝播防止対策が重要視されている. そのMRSAの感染経路の遮断を目的にナース・シューズの靴底部に視点をあて, 粘着マット・消毒液を浸した布マット・消毒液の噴霧などによるMRSAの除菌方法について比較検討を行い, 以下の結果を得た.
1.靴底部に対するベンクロジドエタノールとウエルパス両薬剤による除菌効果に有意差は認められなかった.
2.消毒剤を浸した布=消毒剤の噴霧>粘着マット>無処置の方法順に除菌効果が高かった.
3.無処置コントロール群におけるMRSAの検出率は歩行開始時100%に対し, 歩行3m地点で靴底より15.1%, フロアより0.99%であった. さらに5m地点での靴底よりの検出率は1.8%であり, フロアよりの検出率は0.09%であった.
以上のことからナース・シューズの靴底に付着したMRSAは歩行することでフロアに散在する可能性があるため靴底の除菌にはなんらかの消毒剤を用いることが有効的であると考えられた.

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© 日本環境感染学会
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