予防精神医学
Online ISSN : 2433-4499
単科精神科病院で取り組む初回エピソード精神病へのチームアプローチ
大野 高志小松 浩増子 俊舩越 俊一角藤 芳久佐藤 祐太朗松本 和紀
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 3 巻 1 号 p. 43-50

詳細
抄録
心理社会的な支援を中心とした初回エピソード精神病(First Episode Psychosis:FEP)への早期介入サービス(Early Intervention Service:EIS)は、ケースマネージャーにコーディネートされた多職種チームによって行われるものである。宮城県立精神医療センターでは、「名取EIプロジェクト」と称した若年者のメンタルヘルスの向上を目的とするEISを2011年度より実施している。初回エピソード精神病への介入では、エンゲージメントを重視し、①包括的なアセスメント、②心理教育、③再発予防プログラム、④家族支援、⑤早期作業療法・認知行動療法的介入などをコンポーネントとした治療プログラムを施行し、継続的な関わりを行うようにしている。中心となるケースマネージャーは多職種が担っており、その養成は長年の課題である。サービスの質の向上を行うためのトレーニングシステムの構築が必要であり、スーパービジョンがその中核となると考えられる。また、EISの有効性にはその支援チームが共有する価値、態度、雰囲気などが影響すると考えられ、多職種チームの醸成も重要な視点である。当院は県立の単科精神科病院であり、精神科救急医療や「重度且つ慢性」患者のリハビリテーション、地域移行などさまざまな役割も担っている。多様な業務の中でEISをどのように位置づけ、体制を確立するかは、人材育成にも大きく影響する。わが国の医療環境のなかで実際にEISを運用していくためには施設の現状に即したモデルの確立が必要である。
著者関連情報
© 2018 日本精神保健・予防学会
前の記事 次の記事
feedback
Top