予防精神医学
Online ISSN : 2433-4499
社会全体で考える早期介入- 地域における早期相談・支援サービスの実装と普及
内野 敬今村 晴彦礒野 浩嗣根本 隆洋
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2024 年 9 巻 1 号 p. 67-75

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抄録
これまでの精神科早期介入の代表的な流れとして、初回エピソード精神病に対する早期発見・早期治療、そして発病のリスクを有する状態At-Risk Mental State(ARMS)に対する早期支援がある。さらに近年では、微弱な精神病症状のみに着目するのではなく、幅広いメンタルヘルス不調に対する選択的・全般的予防の重要性が強調されている。その中で、「臨床ステージ分類clinical staging」の概念に沿ったサービスモデルの検討が進むなど、早期介入に関する研究・実践はその裾野を広げつつある。そのため、早期介入サービスは医療現場にとどまらず、地域住民の生活に身近なものとして、社会全体でその実装を考える必要がある。これに際して、実装に関わる阻害・促進要因を体系的に抽出すること、および実装を効率的に進める実装戦略を構築することが必要である。すなわち、「実装科学(implementation science)」に基づく知見の集積が急務である。本稿では、若年者に特化した早期相談・支援窓口として地域に根差すことを目指した「SODA(Support with One-stop care on Demand for Adolescents and young adults)」の取り組み、および実装科学に基づくその評価の概要、さらに産学連携による今後の展開を提示する。
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© 2024 日本精神保健・予防学会
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