抄録
小径腎腫瘍(T1a)に対する腹腔鏡下腎部分切除術(LPN)は,根治性と腎機能温存および侵襲性の観点より標準術式となって来ている.しかし,温阻血(WIT)が必要となるLPNでは腫瘍切除および止血操作の縫合手技において,鉗子操作性の制限によりWITの延長や再出血等の合併症リスクが高まる.これらを改善する目的でロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(RALPN)を導入し,2011年末までに7例に施行した.腫瘍径は15-62mm,WITは 13-37分.術後合併症は,尿漏を1例に認めたがステント留置により改善し,術後出血,再手術例は無かった.RALPNは腹腔鏡手術の難点である鉗子操作の制限を改善し,学習曲線を短縮し,腫瘍切離,止血縫合などの手技が安定した.RALPNは低侵襲性を維持した上にWITを短縮し,術後腎機能の維持やQOLの回復に対する有効性も期待される.