Japanese Journal of Endourology
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特集1 : ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘術 (RARC) の標準化
  • 大山 力, 堀江 重郎
    2021 年 34 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術 (Robot-assisted Laparoscopic Radical Cystectomy : RARC) は2003年の報告以来, その低侵襲性が評価され海外ではすでに標準治療としての地位を確固たるものにしている. 我が国においても2018年4月に保険収載され, RARCを実施する施設は急激に増加している.

     RARCは開放膀胱全摘除術 (Open radical cystectomy : ORC) と比較して出血量が少なく, 輸血率も低い. 在院日数も短いとされている. さらにRAZOR trialでは, その腫瘍学的効果もORCと同等であることが示された. EAUガイドラインでは, 術後90日以内のgrade 3の合併症の頻度も少ないと記載されている. しかし, 尿路変向術に関しては, 腔内尿路変向術 (Intracorporeal urinary diversion : ICUD) が良いのか体腔外で作成するExtracorporeal urinary diversion : ECUDが良いのか, またリンパ節郭清の至適範囲など様々な論点が存在する. また, ICUDを行う際には長時間に及ぶ手術への対応が必要である. このように, 保険収載されたとは言え, RARCを安全で安定したアウトカムが得られる治療法として普及させていくには, 標準術式の確立が必要である.

     EAUガイドラインには, RARCであれORCであれ, 膀胱全摘除術のアウトカムに影響するのは術式の問題よりも術者の技量や施設の症例数であるという記載もある. しかし, 欧米のhigh volume centerに匹敵する経験を有する施設は我が国には少ないのが現状である.

     そこで本特集では, RARCの標準化に向けた各施設の取り組みを披露しあい, わが国におけるRARCの現状を把握してより安全で効果的な術式を普及させることを目的として企画させて頂いた. RARCを新規に導入する際の注意点やチーム医療としてのメッセージ, ICUDに関する各施設での経験, 反省, 教訓, 国内のRARC実施状況, リンパ節郭清の至適範囲など重要なテーマに関する有用な情報が満載の内容である. 是非, ご一読頂き日常診療の一助にして頂ければ幸いである.

  • 岩本 秀人, 森實 修一, 引田 克弥, 本田 正史, 武中 篤
    2021 年 34 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
  • 古家 琢也, 中根 慶太, 飯沼 光司, 髙井 学, 加藤 大貴, 富岡 奨幸, 菱田 勢始
    2021 年 34 巻 1 号 p. 8-11
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     2012年にロボット支援前立腺全摘除術 (RARP) が保険収載となって以降, 本邦においてロボットを導入する施設が急激に増加している. 泌尿器科領域においても, ロボット支援システムを用いた術式も徐々に増えており, ロボット支援膀胱全摘除術 (RARC) をはじめ, 今後ロボット支援手術の適応は, 多領域でさらに増加するものと思われる. 一方で考えておかなければいけないことは, ロボットシステムはあくまでも手術道具の一つに過ぎないという点である. ロボット支援膀胱全摘除術は他のロボット手術に比べ手技が煩雑である点, 比較的予後不良な疾患である筋層浸潤膀胱癌に対する手術であり, また開放手術では経験しなかったような再発様式を示すこともあることから, 我々は非常に難しい手術の一つであると認識している. そのため, ロボット支援膀胱全摘除術の導入にあたってはステップ毎に確認事項を設定し, 手術室にいるスタッフ全員が今何を行っているのか, 次に何を行うのか, 何が必要なのかなど, 術中に細かく指示を出す必要がないよう, 術前に情報の共有およびミーティングを行っておく必要がある. 本稿では, ロボット支援膀胱全摘除術を安全に導入するためにはどのような準備が必要なのか, 術者側と助手側の視点に立って解説した.

     ロボット支援膀胱全摘除術のような新規手術を導入する際には, 術者のみならずチームとしてどのように対応していくのかが重要なポイントとなる. そのため, 手術前にはミーティングを開き, 手術手技および意思の統一を図ることによりスムースに導入が可能となると思われる.

  • 全並 賢二, 住友 誠, 白木 良一
    2021 年 34 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     ロボット支援膀胱全摘除術 (RARC) は低侵襲性と安定した手術操作性から欧米を中心に普及してきた. 日本でも2018年に保険収載されたことにより症例の増加が今後期待されるが, 術式や手技の標準化, 安定化という観点ではまだ未成熟であり, 課題がある. 特に, 尿路変向の選択, 実際の手技においては確立されておらず, ICUD (intracorporeal urinary diversion) はその煩雑性から敬遠され, これまでの手技をそのまま応用しやすいECUD (extracorporeal urinary diversion) を採用している施設が多いのが現状である. ICUDの利点として, 創部を最小にすることによる侵襲, 疼痛, 創部感染の軽減, 腸管を外気に暴露させないないことによる腸管浮腫, 体液ロス, 腸管合併症の軽減が期待できる. また, 尿管を創外に引き出す必要がないため, 無理な牽引による術後尿管狭窄の減少が期待でき, ロボット操作による比較的容易な尿管導管吻合が可能になる利点も挙げられる. しかし, 腸管操作中の触覚がないことや, 手術時間が長くなりやすいことから, 上記の利点が得られない可能性も懸念されるため, 手術手技の標準化, 手術時間の短縮, early recovery after surgery (ERAS) protocolを含めた周術期管理が重要と考えられる. 本稿では, ICUD新規導入施設への足掛かりとなるべく, 当科でのICUD導入や確立に対する工夫や注意点について解説する.

  • 武藤 智
    2021 年 34 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     開放性膀胱全摘除術 (Open Radical Cystectomy : ORC) は浸潤性膀胱癌に対する標準治療である. しかしその侵襲性は高く, 周術期の有害事象は決して許容できるものではない. 低侵襲治療を目的として以前より腹腔鏡下根治的膀胱摘除術が行われてきたが, 技術を取得するために豊富な経験が必要とされ, 標準治療にはいたっていない.

     ロボット支援膀胱全摘除術 (Robot-Assisted Radical Cystectomy : RARC) は2003年Mani Menonによって報告された. われわれのグループでは2012年11月27日から2020年10月までに73例の症例に対してRARCを行ってきた. 当初は膀胱全摘除術においてopen conversionを必要とした症例もあったが, その後症例を増やすごとにリンパ節郭清術, Intracorporeal Urinary Diversion (ICUD) 回腸導管造設術と少しずつ完成度を高めてきた. 最近では合併症なく短時間で終了することが可能となっている. 今回の企画ではわれわれの経験と教訓について報告する.

  • 米山 高弘, 富樫 赳, 堀口 裕貴, 小玉 寛健, 成田 拓磨, 岩村 大径, 小島 由太, 岡本 哲平, 山本 勇人, 畠山 真吾, 橋 ...
    2021 年 34 巻 1 号 p. 24-32
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     筋層浸潤膀胱癌に対する標準的治療は, 膀胱全摘術+骨盤内リンパ節郭清術である. しかし, この手術は高難度・高侵襲の手術とされ, 合併症の頻度も高く, 手術単独での生存率は50-60%程度と予後不良である. よって, 低侵襲な術式の確立が課題となっていた. ロボット支援膀胱全摘除術は, 開放手術と比較して手術時間は長いものの出血量の減少や合併症, 再入院率の低下など手術成績が改善したとの報告が多い. 回腸を利用した尿路変向に関しては, 体腔外で行うべきか体腔内で行うべきかの明確なエビデンスは得られていない. 2018年4月に本邦でもロボット支援膀胱全摘術が保険収載され, 多くの施設で行われるようになっている. 本稿では. 当科で行っている術前化学療法とロボット支援膀胱全摘術及び回腸を利用したU字回腸新膀胱造設術の手技及び治療成績について概説する.

特集2 : 腹腔鏡下腎盂形成術 : 適応の拡大と将来展望
  • 岩村 正嗣, 林 祐太郎
    2021 年 34 巻 1 号 p. 33
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     腎盂尿管移行部閉塞 (UPJO) に起因する水腎症の治療法としては, 開腹手術による腎盂形成術が標準術式として広く普及している. しかし腰部斜切開によるアプローチは, 特に成人においては侵襲性が高く, より低侵襲な治療法の開発が望まれてきた. 1980年代後半に登場した内視鏡下腎盂切開術 (endopyelotomy) は本症に対する最も低侵襲な治療法とされているが, 通過障害の原因が交差血管や尿管高位付着による場合, 巨大な水腎症を呈する症例などでは治療成績が低下することが問題となる. 1993年にSchuesslerらにより報告された腹腔鏡下腎盂形成術は, 余剰腎盂の切離や交差血管の処理など, 従来の開腹手術と同様の手術操作が実施できるため, 鏡視下手術の低侵襲性を維持しつつ開腹手術に匹敵する良好な治療成績が期待できる治療法として注目されている.

     本邦における腹腔鏡下腎盂形成術は1998年頃より臨床応用が開始された. 本術式は対象となるUPJOが比較的少ないこと, 高度な体腔内縫合技術を要求される難度の高い手術とされたことから, 当初は限られた施設でのみ実施されてきたが, 泌尿器科領域における腹腔鏡手術の普及とともに術式が確立され, 近年, 症例数は徐々に増加しつつある. 加えて体腔内縫合を劇的に簡素化しうる手術支援ロボットが出現し, 2020年にはロボット支援腎盂形成術が保険収載されたことから腹腔鏡下腎盂形成術は新たな展開を迎えようとしている.

     本特集では, 小児先天性UPJOへの応用, 非典型的UPJOへの応用, 二次閉塞例への応用など, 本術式の適応拡大について, それぞれ都立小児医療センターの佐藤裕之先生, 滋賀医科大学の上仁数義先生, 神奈川県立こども医療センターの西 盛宏先生にご執筆をいただいた. また名古屋徳洲会総合病院の黒川覚史先生には, 保険収載されて間もないロボット支援腎盂形成術について豊富なご経験を紹介いただき, 本術式の将来展望について述べていただいた.

     本特集が腹腔鏡下腎盂形成術の適応の拡大と, さらなる普及に寄与することが出来れば幸甚である.

  • 佐藤 裕之
    2021 年 34 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     小児に対する腎盂形成術は, 成人の腎盂形成と行うことは同じであるが, 手術野のサイズ, 尿管の細さ・脆弱性のみならず, 原因疾患の違いも経験される. 小児腎盂形成術を行う上で重要なのは, 小児ゆえの病態を充分に理解したうえで, 無理のない手術を行うことであり, 5歳以下の水腎症では十分な経験を積んだもののみが腹腔鏡下手術を行うことが望まれる.

     小児では成人と異なり体表より腎盂尿管移行部が近いため, 2-3 cm程度の切開で開放手術が行えるため, 創部が小さくなること以上のメリットも手術を行う上で必要である.

     尿管ポリープ, 下大静脈後尿管, 馬蹄腎などの病態では開放手術より腹腔鏡下手術が有利であり, このような病態や年長児では腹腔鏡手術を行うことが勧められる.

     小児症例では腹腔鏡下腎盂形成術の適応が可能かどうかを見極めることが重要である.

  • 上仁 数義, 森 友莉, 富田 圭司, 小林 憲市, 成田 充弘, 河内 明宏
    2021 年 34 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     腎盂尿管移行部通過障害の治療において開放腎盂形成術はgold standardであり, 腎盂最下端と尿管を緊張なく吻合し, 腎盂尿管移行部を漏斗状にすることが最も重要とされている. 腹腔鏡下腎盂形成術は体腔内縫合を必要とする難易度の高い手術であるが, 開放腎盂形成術に比べ非侵襲的でありながら, 成績が開放腎盂形成術と同等であることから導入する施設が増加している. しかし, 非典型的な腎盂尿管移行部通過障害の場合, 尿路の解剖が複雑であるため, 腹腔鏡下腎盂形成術での施行を躊躇する場合がある. 当科で腹腔鏡下腎盂形成術を施行した非典型的腎盂尿管移行部通過障害例では, 術前に適切に画像評価を行い, 術中に臨機応変に対応し腹腔鏡下腎盂形成術で完遂可能であった. 非典型的な腎盂尿管移行部通過障害であっても腹腔鏡下腎盂形成術で対応可能と思われる. ロボット支援腹腔鏡下腎盂形成術が保険収載されたことから, 更なる適応拡大が期待できる.

  • 西 盛宏, 岩村 正嗣
    2021 年 34 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     腎盂尿管移行部閉塞に対する初回治療としての腹腔鏡下腎盂形成術は開腹手術に代わる低侵襲代替療法として, 良好な成績が報告されている. 一方, 初回治療不成功例に対する同手術の手術成績や有用性については報告も少なく議論の余地がある.

     北里大学ではこれまで25例の初回治療不成功例に対する経腹膜的腹腔鏡下腎盂形成術を施行したが, 初回治療の内訳はバルーン拡張術3例, endopyelotomy 4例, 開腹腎盂形成術6例, 腹腔鏡下腎盂形成術 11例, さらに腹腔鏡下腎盂形成術後, 開腹腎盂形成術後の再々閉塞例が1例と様々であった.

     初回腹腔鏡下腎盂形成術 : 297例, 再腹腔鏡下腎盂形成術 : 25例の比較では再腹腔鏡下腎盂形成術群で有意に術前ステント挿入率が高かった. また手術成績は同等であったが, 手術時間が長く, 合併症率が高かった.

     再閉塞を来した原因が確認できた18人中8人で尿管高位付着を認め, そのほかの原因で再閉塞を来した患者に比べ, 有意に再発期間が短かかった. 再治療の術式はAnderson-Hynesが25人中22人, Fenger法が2人, Y-V形成法が1人であった. 尿管高位付着が原因の場合, Fenger法が有用であった. また癒着が高度な症例においては組織の伸展性が不良で腎盂尿管縫合に十分な距離が得られないこともあり, Y-V形成法などのFlapを用いた腎盂形成が有用であった. 縫合においては腎盂や尿管壁の組織が厚く, 脆弱なため, 太めのポリフィラメント吸収糸による結節縫合が有用であった.

  • 黒川 覚史, 水野 健太郎, 野崎 哲史, 西尾 英紀, 戸澤 啓一, 安井 孝周, 林 祐太郎
    2021 年 34 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     近年, 難易度の高い腹腔鏡手術は, ロボット支援手術として次々に保険収載されている. ロボット支援手術は, 方向を選ばない切開・縫合操作などで特性を発揮される. 腹腔鏡下腎盂形成術は, 形成部を漏斗状にするデザインに合わせた切開・縫合操作が必要な難易度の高い手術である. ロボット支援手術が有用だと考えられ, 2020年4月にロボット支援腎盂形成術が保険収載された. 本稿では, 保険収載前から臨床研究として行っているロボット支援腎盂形成術について, 市中病院における経験を述べる.

     対象は, 2012年12月から2020年8月に同一術者が執刀した15例. 手術体位は側臥位から半側臥位, 患者の前面を広く開けてロボットアームが干渉しないようにした. トロカーは, ロボット用3個と5 mm助手用1個, ダヴィンチの機種は「S」6例, 「Xi」9例. 全例, 経腹膜到達, dismembered法とした. 15例のうちロボット単独で手術した群11例と腹腔鏡操作を併用したハイブリッド腎盂形成術群4例を比較した. ハイブリッド群の腹腔鏡操作は, アームが干渉しやすい結腸の脱転から腎盂尿管移行部の剥離までに用いた. ハイブリッド群ではダヴィンチ「S」の使用割合が高く, 手術時間が長い傾向にあった. 成功率には差がなく, いずれも安全に手術を行うことができた.

     ロボット支援手術で用いるダヴィンチは, 機種による違いがある. 「S/Si」のアームは, 「X/Xi」のアームに比べて幅が広く短いために干渉しやすい. 「S/Si」で広範囲に結腸の脱転が必要な際は, 腹腔鏡操作を併用するハイブリッド腎盂形成術が治療選択肢になりうると考えられた. 限られた手術件数の中で, 安全で質の良い治療が提供できるよう私たちの取り組みを紹介する.

特集3 : 腹腔鏡下仙骨膣固定術 (LSC)
  • 横山 修, 髙橋 悟
    2021 年 34 巻 1 号 p. 55
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     骨盤臓器脱は, 自覚症状だけでは確定診断できないので, 正確な住民ベースでの疫学調査はこれまで報告されていないが, 腟内診だけを行った調査では住民の24-40%に骨盤臓器脱がみられたとの報告がなされている (Milsom I, 2009). すなわち多くの女性が臓器脱を自覚している現状がある. 骨盤臓器脱の根治的治療は手術療法であるが, 多くの女性, しかも高齢者に多いことから, より簡便なより低侵襲な手術が考案され実施されてきた. その典型が経腟メッシュ手術であるが, メッシュによる合併症が多く, 2011年FDA (Food and Drug Administration, 米国食品医薬品局) の警告もあり最終的に2020年で米国内での経腟メッシュ手術製品の使用が禁止された. わが国でも2019年5月でポリフォームが使用できなくなったが, 経腟メッシュ手術を行う場合は登録をした上で株式会社クラウンジュン・コウノの「ORIHIME」を用いることができる. 欧州においも同様で, 世界的な経腟メッシュ手術の中止・禁止の中で, 最近は腹部アプローチによる骨盤臓器脱手術が注目されている. その中でも腹腔鏡を用いることで低侵襲化を目指したのが腹腔鏡下仙骨腟固定術 (Laparoscopic sacrocolpopexy : LSC) である. 本邦で広く行われているフランス式LSCは, 多くの手術工程がある高難度の術式である. また, 骨盤臓器脱は症例により部位や程度のバリエーションが多いとされ, 術式を使い分ける必要がある. そこで本特集においては野村昌良先, 生成島雅博先生, 福島正人先生, 持田淳一先生にメッシュを用いた腹腔鏡下骨盤臓器脱手術の基本となる手技と個々の症例に合わせた工夫を解説いただいた. また, 2020年4月から骨盤臓器脱に対してロボット支援下仙骨膣固定術 (Robot assisted sacrocolpopexy) が保険収載となった. 佐々木ひと美先生には, より低侵襲なロボット手術について解説していただいた. 三方よしの骨盤臓器脱手術がひろく施行されることを願い本特集は企画された.

  • 野村 昌良, 牟田 奈央, 沢田 勇吾, 永榮 美香, 常盤 紫野, 林 篤正
    2021 年 34 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

      It is well known that pelvic organ prolapse (POP) has various degrees characterized by its severity and non-specific bladder, bowel, and sexual symptoms. A lot of surgical procedures for POP repair can be done via vaginal or laparoscopic route, with or without mesh graft. Recently, laparoscopic surgery for POP repair has been gaining popularity and one of the most established surgeries for POP repair is laparoscopic sacrocolpopexy (LSC). Aside from LSC, other surgical procedures have been reported in literatures. In this paper, we introduce five laparoscopic procedures for POP repair that we have been performing in our hospital : Basic LSC, LSC with two separate mesh-fixation, Laparoscopic Sacral Hysteropexy (uterine preservation LSC), Laparoscopic Lateral Suspension, and Laparoscopic Sacrospinous Ligament Fixation with mesh. It is assumed that the choice of appropriate surgical procedure for each POP case may provide an effective surgical outcome.

  • 成島 雅博, 荒木 英盛, 成田 英生, 角田 夕紀子, 伊藤 有香, 花井 一旭
    2021 年 34 巻 1 号 p. 61-78
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     本邦で広く行われているフランス式腹腔鏡下仙骨膣固定術 (Laparoscopic sacrocolpopexy : LSC) は, 多くの手術工程がある運針操作の多い高難度の術式である. 当院では, 手術操作がスムーズに行なえ再発率を下げる数々の工夫を行っている. 本稿では, LSCに必要な基本手技, ミュゾー鉗子とヘガール頸管拡張器を利用した子宮マニプュレーター, ワーキングスペース確保のための直針付き糸によるS状結腸の吊り上げ法, 当科が工夫したガーゼやエンドラクターJTMによる腸管の受動法, 膀胱や腟断端の直針付き糸による吊り上げ法, 膀胱内エアー注入下の前腟壁剥離法, 安全な後腟壁剥離法, 再発を低減する高位ダグラス腹膜閉鎖法, 『central road』による 医原性SUIを作らない子宮頸部挙上法, 通常第二助手が行う子宮腟上部切断時のマニプュレーター保持や前後腟壁剥離時のスパーテル保持を代用するオクトパスTMの使用法, 助手の負担を軽減し画像のブレをなくすカメラホルダー (ロックアームTM) の紹介など, LSCを行う上で知っておくと役立つテクニックについて解説する.

  • 福島 正人, 関 雅也, 糸賀 明子, 堤内 真実, 横山 修
    2021 年 34 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     以前は腎全摘術を行っていたような腎癌症例も, 積極的にロボット補助下腎部分切除を行う様になったため若手医師が腹腔鏡認定をとるための技術を習得する機会が減ってきた. またTVM (Tension-free Vaginal Mesh) が米国FDAの勧告を受けて以降, 骨盤臓器脱手術は腹腔鏡下仙骨膣固定術 (以下LSC) を選択することが多くなり, 今や一般的な術式となった. LSCは剥離, 牽引, 縫合, 層の認識, そして助手との協調作業など腹腔鏡を行う上で必要な手技がすべて含まれている. またLSCは腹腔鏡認定医をとるために必要な症例数の一部として数える事ができる. そういった意味でも若手医師を指導するにはLSCは良い術式だと思われる. この手術は術者一人が上手くても円滑に手術を行う事は難しい. 術者と助手の協調作業が重要な鍵である. 特に助手が左手でカメラ操作を, 右手で鉗子操作を行う場合は, 助手の技量により手術の効率が左右される. そのためLSCを完遂できる医師が2人いると手術を円滑に行う事ができる. 当院ではLSC手術は術者1人, カメラと鉗子操作を行う助手1人, 膣壁の操作をヘラで行う助手1人の計3人で行っている. 若手指導の初期にはヘラ持ちをしてもらいながら手技を学び, 執刀の際は手術行程を分けて指導している. 当院のように症例数の限られた施設では, まずは1人を集中的に指導し最後まで完遂可能な医師を2人にした方が以後の若手指導に有効と考える.

  • 持田 淳一, 吉澤 剛, 髙橋 悟
    2021 年 34 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     安全で治療効果に優れた腹腔鏡下仙骨腟固定術 (LSC) は他の術式に比べ難易度が高く, 手術時間が3-4時間と長くかかる点がデメリットである. 当科では負担軽減を目的に使用するデバイスや手技の工夫に取り組んでいる. まずデバイスとして手術用3D内視鏡システムは適度に解像度が良く奥行きがあり, 針の把持や運針・結紮などの操作感覚が優れており院内導入時より使用している. エネルギーデバイスはバイポーラタイプのソフト凝固による止血が有効である. また子宮頚部切断時や腟壁間の剥離時は, モノポーラ鉗子から出力するドライカットモード (混合切開モード) が凝固モードよりも切離時間が短くなり有効であった. 次にPOP-Q stage別のメッシュ固定法の定型化を行った. さらなる手技の工夫として子宮脱を有する症例に対してダブルメッシュ法のメッシュ固定部位である子宮頚部断端へ, 運針の替わりにTackerで打針固定する術式を2017年6月より導入した.

     今回, 2015年3月の腹腔鏡下仙骨腟固定術導入時点より単一術者 (泌尿器腹腔鏡技術認定医) による手術時間に関連する評価を後方視的に行った結果, 2017年6月-2019年9月のTackerを用いた子宮脱を有するPOP-Q stage Ⅱ, ⅢのPOP患者26例において, 手術時間 (中央値) が117分 (範囲75-164分) と1時間台に到達した. Tackerによるメッシュ固定導入後から3年目までの評価では, 腟尖部脱の再発やTackerに関連する疼痛などの訴えはない. 本術式は手技の簡素化により手術時間が短縮し十分な有効性も維持され, 高齢者へも対応可能な術式であると考える.

  • 佐々木 ひと美, 市野 学, 竹中 政史, 深谷 孝介, 全並 賢二, 高原 健, 住友 誠, 白木 良一
    2021 年 34 巻 1 号 p. 90-95
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
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     2005年に米国FDAがダビンチサージカルシステムの婦人科領域での使用承認により急速にロボット手術件数が増加している. 本邦においても婦人科領域でのロボット支援下手術の保険収載が行われており, 2020年4月から骨盤臓器脱における腹腔鏡下仙骨膣断端固定術に対しても保険収載がおこなわれた. 仙骨膣固定術は高度の骨盤臓器脱にも対応できる術式であり, 開腹術からより低侵襲な腹腔鏡手術, ロボット手術へと術法は変化している.

     従来の腹腔鏡下仙骨膣固定術ではメッシュの縫合や岬角へのメッシュ固定などで複数回の縫合手技が必要とされており腹腔鏡初心者にとっては難易度が高い手術と思われていた. ロボット手術のメリットとしては3Dカメラによるリアルな立体画像とズーム機能, 広い関節可動域や4本のアーム, 多彩な機能の鉗子などに加えスピード調整や手ぶれ補正などの操作性の良さから縫合や結紮などのラーニングカーブが従来の腹腔鏡手術と比較して短く, デュアルコンソールでの直接指導も可能であるため教育面でも優れている. ロボット支援下仙骨膣固定術と従来の腹腔鏡手術との比較では, 自覚的他覚的な手術結果には有意差はないものの, 出血量や開腹術への移行率の低さではロボット手術での有用性が高いとの報告がある一方, 手術時間や手術に関わる費用では従来の腹腔鏡手術が短時間で安価であると報告されている. 保険収載されたことによりロボットを保有している施設での手術件数の増加が見込まれる. 今後ロボット手術においては, 良好な結果を保ちつつ手術時間の短縮や教育での活用が期待される.

総説
  • 小路 直, 武田 和真, 内田 貴人, 杠 総一郎, 花田 いずみ, 黒田 悟史, 小川 貴博, 日暮 太朗, 中野 まゆら, 川上 正能, ...
    2021 年 34 巻 1 号 p. 96-103
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     Multi-parametric magnetic resonance imaging (MRI) のsignificant cancer検出における有用性が明らかとなった. さらに, MRI-TRUS融合画像ガイド下生検などのMRIガイド下生検により, 従来よりも精度が高く, 前立腺内部における癌局在診断が可能になったことで, 癌のみを治療し, 可能な限り正常組織を温存することで, 癌制御と機能温存を両立することを目的とした“focal therapy”が, 新たな治療戦略として注目されている. 高密度焦点式超音波療法 (high-intensity focused ultrasound, HIFU) は, トランスデューサーから強力な超音波エネルギーを照射し, 小さな焦点領域にエネルギーを収束させ, 組織を破壊し, 治療効果を得る. HIFUによるfocal therapyの短期臨床成績は, 癌制御と機能温存の両立性を示した.

尿路結石
  • 田 寛之, 今井 聡士, 松本 穣, 村蒔 基次, 山田 裕二
    2021 年 34 巻 1 号 p. 104-107
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     経尿道的尿路結石砕石術 (TUL) 直後の尿管ステント留置の目的は自排石率の向上や, 水腎症および感染の予防とされるが, 一方でステント関連症状によりQOLを低下させ, 術後の鎮痛剤の使用量が増えるなどの欠点もある.

     当院で2018年1月から2019年6月までに, 術後に尿管ステントを留置しないTUL (以後Stentless TULと呼ぶ) を行った21例を対象とし, その結果を検討した. 年齢中央値は67歳, 結石部位は R2 : 2例, U1 : 6例, U2 : 3例, U3 : 10例で, 結石長径中央値は8 mmだった. 手術時間中央値は27分, 全例でendoscopic stone freeを確認した. 重篤な合併症を来した症例はなかった. これらの結果から, Stentless TULは条件により可能であり, さらに適応を拡大すべきと考えられた.

Endourology
  • 井上 貴昭, 藤田 雅一郎, 山道 深, 植木 秀登, 藤澤 正人
    2021 年 34 巻 1 号 p. 108-111
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     本研究では尿路結石に対する内視鏡治療において, 砕石効率に影響する術者側因子としてホルミウムレーザーのpulse durationの違いとレーザーファイバーの結石に対する位置に着目してdust generationを比較検討した. <対象と方法>Bego stone plusを5 : 1で混合し10 mm ball type stoneと20 mm cube type stoneシュウ酸カルシウム1水和物のストーンファントムを作成した. Ball typeにはレーザーファイバーを結石直面に, Cube typeにはレーザーファイバーを結石側面に位置させ, 1.5×10 Hzのレーザー出力でpulse durationをshort, middle, long pulse rangeと変化させ1分間連続照射し結石を砕石. <結果>レーザーファイバーを結石直面に位置させた時, どのレーザーセッティングにおいても砕石後に有意なdust generationを認めた (p<0.05). Short, middle, long rangeのpulse duration間でdust generationに有意な差はなかった(p=0.177). レーザーファイバーを結石に対して垂直に位置させる方が側面に位置させるより有意にdust generationが高い (p=0.001).

  • 杉野 輝明, 濵本 周造, 海野 怜, 田口 和己, 安藤 亮介, 岡田 淳志, 安井 孝周
    2021 年 34 巻 1 号 p. 112-117
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     近年, 尿管狭窄に対する内視鏡治療の適応が広がっている. 今回私たちは, レーザー切開術およびバルーン拡張術を施行して術後に2本の尿管ステントを留置する術式を導入し, その有用性を調べた. 2016年1月から2019年3月に, 尿管狭窄に対して内視鏡手術を行った10例を対象とした. 全例でレーザー切開術後にバルーン拡張術を行い, 4.7 Fr尿管ステントを2本留置し, 術後4-8週間後に抜去した. 8例 (80%) で水腎症の改善を認めた. follow up期間の中央値は251.5日であり, 8例全例において再狭窄を認めていない. レーザー切開術にバルーン拡張術を併用し, かつ術後に尿管ステントを2本留置する術式は有用であると考えられた.

腹腔鏡手術 (副腎・上部尿路)
  • 門司 恵介, 猪口 淳一, 今田 憲二郎, 柏木 英志, 武内 在雄, 塩田 直己, 立神 勝則, 江藤 正俊
    2021 年 34 巻 1 号 p. 118-123
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

    【目的】腎盂尿管癌の診断目的で施行される尿管鏡の安全性および有効性と, 腎尿管全摘除術後の膀胱内再発に与える影響を明らかにする.

    【対象・方法】対象は2011年1月から2018年3月に腎盂尿管癌の診断のため尿管鏡を施行した150例および腎尿管全摘除術を施行した126例. 腎尿管全摘除術後の膀胱内再発率などについて検討した.

    【結果】最終的に腎盂尿管癌と診断された104例中91例が尿管鏡によって診断された. 尿管鏡の検査感度は87.5%であった. 腎尿管全摘除術後の2年膀胱内非再発率は尿管鏡施行群で46.5%, 尿管鏡非施行群で68.3%と有意に尿管鏡施行群で低かった.

    【結論】腎盂尿管癌の診断における尿管鏡は安全で診断に有用な検査であるが, 腎尿管全摘除術後の膀胱内再発率を上昇させる可能性がある.

ロボット手術
  • 辻村 剛, 吉村 明洋, 山道 岳, 中田 渡, 辻本 裕一, 任 幹夫, 辻畑 正雄
    2021 年 34 巻 1 号 p. 124-129
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

    【対象と方法】

     当院にて2017年7月から2020年3月にRAPN (Robot-assisted partial nephrectomy) を施行した51例, 2013年4月から2017年9月にLPN (laparoscopic partial nephrectomy) を施行した52例を対象とし, 周術期成績と安全性を比較した.

    【結果】

     患者背景においてRAPNはLPNに比して手術困難症例が多い傾向であった. 治療成績は腎温阻血時間と出血量に有意差を認めなかったが, Trifecta達成率 (%) : RAPN 35.3%/LPN 11.5% (P=0.005) であり, 有意にRAPN症例で達成率が高かった. 合併症 (Clavien-Dindo分類GradeⅢ度以上) はRAPNで11.8%, LPNで13.5%であった.

    【結論】

     RAPNはLPNと比較して, Trifecta達成率が高く, 安全性も保たれていた.

  • 提箸 隆一郎, 井上 高光, 中島 志織, 嘉島 相輝, 山本 竜平, 小泉 淳, 奈良 健平, 神田 壮平, 沼倉 一幸, 齋藤 満, 成 ...
    2021 年 34 巻 1 号 p. 130-135
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

    【目的】ロボット支援腎部分切除術 (RAPN) における腎実質縫合の追加が術後の腎実質体積を減少させるかを画像解析ソフトにより検討した. また腎機能, 合併症への影響も検討した.

    【対象と方法】2013年11月から2018年11月までに当科でRAPNを行ったT1a症例69例のうち, 腎実質縫合を施行した26例 (実質縫合群) と省略した43例 (非縫合群) を後方視的に比較した. Synapse Vincent ver. 4を用いて, 術前と術後6カ月の造影CTから腎実質減少体積を推定した.

    【結果】2群間の患者背景や手術成績に有意差はなかった. 腎実質体積の減少量やeGFRの低下率, 合併症の発生率に有意差を認めなかった.

    【結語】RAPNにおける腎実質縫合の追加は腎実質体積や腎機能, 合併症の発生に影響しなかった.

  • 光成 健輔, 大庭 康司郎, 松尾 朋博, 志田 洋平, 計屋 知彰, 宮田 康好, 酒井 英樹
    2021 年 34 巻 1 号 p. 136-142
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

    [目的] 腹腔鏡下前立腺全摘術 (Laparoscopic radical prostatectomy : LRP) とロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術 (Robot-assisted laparoscopic radical prostatectomy : RARP) の手術成績に関して比較検討を行った.

    [対象と方法] 2011年4月から2018年1月まで長崎大学病院にて前立腺全摘術を施行した312例 (LRP 166例, RARP 146例) を対象とした.

    [結果] LRP群とRARP群において手術時間に差はなかったが, 出血量はRARP群で少なかった. 尿禁制はLRP群とRARP群において差はなかった. 切除断端陽性率は両群間で差を認めなかった.

    [結論] RARP群において出血量が少なかったが, 制癌性や尿禁制に関しては同等であった. 今後症例を重ね, さらなる検討が必要である.

  • 北城 守文, 松原 匠, 德田 雄治, 三原 典, 寺地 敏郎, 平塚 義治
    2021 年 34 巻 1 号 p. 143-146
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     ロボット支援膀胱全摘における腹腔内尿路変向術は, 腹腔外尿路変向術に比較して, 腸管が外気に触れない, 小さい切開などの利点が報告されている. 一方, 腹腔内尿路変向での回腸導管ストーマ形成は, 小さな切開のため導管を引き出す時に不充分な視野での操作が必要になる欠点がある. 不充分な視野でのストーマ形成は導管狭窄やストーマ形態異常などを引き起こす. 今回, その点を改善するためにポート造設に続きストーマ孔を形成, そこに単孔式アクセスポートを留置し, 腹腔内尿路変向終了時に内視鏡観察下で同ポートから導管肛門側を愛護的に腹壁体外に引き出すことができた. その後, ストーマ形成し手術終了した. この術式は腹腔内尿路変向術のストーマ形成を, 手術の流れを止めることなく, 回腸導管へ無理な力を加えることもなく行うことを可能とした.

HIFU, 超音波領域
  • 林 睦雄, 岡 清貴, 金岡 隆平
    2021 年 34 巻 1 号 p. 147-153
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     高密度焦点式超音波 (HIFU) は治療領域を自由に設定できfocal therapyに適している. 限局性前立腺癌 (PSA 20 ng/mL, Gleason score 7, T2以下) 片側例に, 生検またはMRI病変部に合わせ, 尿道を外して部分, 片側, 椅子型照射した. 初回HIFU 13例と救済HIFU 19例に局所照射し, 生検かPSA failure (ASTRO判定) で再発とした. 全例に直後PSA低下, MRIで癌所見の消失, 3例に排尿困難を認めた. 初回群の治療後2, 3年非再発率は76, 57%, 救済群は71, 62%であった. HIFU局所療法は安全で, その適応にはPSA 10 ng/mL, Gleason score 3 + 4, T2a, コア数2以下の症例が望ましい. 再発率改善には癌局在診断精度の向上が必要である.

その他の領域
  • 小林 幸太, 米山 脩子, 藤川 直也, 滝沢 明利
    2021 年 34 巻 1 号 p. 154-158
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     悪性腫瘍による尿管閉塞に対するステンレスメッシュ入り尿管ステントについて後方視的に検討を行った. 2018年9月から2020年10月までに22例の悪性腫瘍患者に対して上記尿管ステントを留置した. 原疾患は膀胱癌8例, 前立腺癌4例, 尿管癌3例, 非泌尿器癌が7例, 狭窄原因は, 周囲リンパ節腫大または腹膜播種による壁外性狭窄が11例, 膀胱浸潤または尿管浸潤により内腔が直接的に閉塞している壁内性狭窄が10例, その他1例であった. ステント留置後の生存期間中央値は101日であり, ステント有効率は全症例で86%, 原因別に分けると壁外性狭窄は100%, 壁内性狭窄は80%であった. 悪性腫瘍による尿管閉塞に対するステンレスメッシュ入り尿管ステントは従来と同様の操作で留置交換が可能であり, 壁外性狭窄のみならず, 癌の直接浸潤による壁内性狭窄においても有用であることが示唆された.

症例報告
  • 錦見 俊徳, 山田 浩史, 石田 亮, 山内 裕士, 大橋 朋悦, 服部 恭介
    2021 年 34 巻 1 号 p. 159-163
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     54歳, 女性. 主訴 : 右腰部~大腿部痛, 既往歴 : 40歳時高度異形成で子宮円錐切除後. CT, MRIにて右骨盤部, 内外腸骨動静脈近傍に56×40×60 mmの腫瘤を認め, 腹腔鏡下に摘出を行った. 頭低位25度, 経腹膜アプローチで後腹膜腔に到達. 腫瘍は右外腸骨動静脈に強固に癒着しており, 右閉鎖神経も近接し, 剥離に注意を要した. 手術時間 : 4時間15分, 出血 : 180 mL. 摘出重量 : 65 g. 術後病理はMetastatic squamous cell carcinoma : SCCであった. 術後, 右腰から大腿部の痛みはなくなり, 術後歩行障害も認めなかった. その後, 原発巣の精査を行ったが, 原発巣は不明. 高度異形成にて子宮円錐切除手術の既往と病理結果にてSCC, p16陽性の所見を認めることから子宮頸癌の転移と考え, 術後放射線治療 (全骨盤 50.4 Gy/28 fr) を施行. 術後約3年経過したが, 画像上再発なく, 採血上SCCも0.7 ng/mL (術前 3.2 ng/mL) と低値を維持している.

  • 千葉 量人, 関根 啓太, 菅原 翔, 五島 悠介, 宮崎 兼考, 井上 淳, 永田 真樹
    2021 年 34 巻 1 号 p. 164-168
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     症例は72歳男性. PSA高値 (59.1 ng/mL) にて近医より当院紹介. 前立腺生検および画像検査にてGleason Score 4+4, cT3aN0M0, 前立腺がんの診断に至りロボット支援下前立腺全摘術および拡大リンパ節郭清を施行. 術後5病日に嘔吐を認め腹部レントゲンにてイレウスと診断. 排ガスを認めていたため胃管やイレウス管などは留置せず絶飲食にて保存治療を行っていたが7病日に大量の嘔吐を認めCTを施行した結果ポートサイトヘルニアによる腸閉塞の診断に至った. 外科へコンサルトしたところ自然還納も期待できるため経過観察となったが, 所見の改善を認めず12病日に開腹手術を施行. 助手用12 mmポートで縫合した外腹斜筋筋膜と未閉鎖の腹膜との間に回腸が迷入していたが腸管の壊死は認めなかった. 脱出腸管を還納し腹膜と筋膜を閉鎖して手術は終了. ヘルニア還納術後3病日より経口摂取再開し9病日に退院した.

  • 富岡 奨幸, 萩原 徳康, 近藤 啓美, 濱本 幸浩
    2021 年 34 巻 1 号 p. 169-172
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     76歳男性, 直腸癌, 横行結腸癌に対し低位前方切除術, 横行結腸切除術, 上行結腸ストマ造設術後. 右内腸骨リンパ節転移による右尿管狭窄に対し, 腎瘻造設の同意が得られず右メタリック尿管ステント留置を行った. 留置3カ月後, ステント不全のためメタリック尿管ステント抜去後に腎瘻造設を予定したが, 異物鉗子で金属尿管ステント末端を把持牽引時にコイル形状がほどけ伸展し, 抜去不可能であった. その後腎不全が進行し入院. 血液透析を導入した後に開腹右腎摘除術を施行し, 術中に2本の尿管ステントを摘出腎ごと摘除した. 摘出標本では腎盂側末端が腎盂粘膜内に埋没固着している状態であった. 我々の調べうる限りメタリック尿管ステントが抜去困難となった症例報告はないためここに報告する.

Urologist at Work
  • 江川 雅之, 林 哲章, 一松 啓介, 上村 吉穂
    2021 年 34 巻 1 号 p. 173-176
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー

     腹腔鏡下仙骨腟固定術では, 通常, L5腰椎とS1仙椎間の椎間板上で, メッシュ近位端を前縦靭帯に固定する. しかし, 大血管の解剖学的破格例などでは, 同部へのメッシュ固定が危険で困難になることがある. 当科では, 2013年の腹腔鏡下仙骨腟固定術開始当初から, S1またはS2仙椎レベルでのメッシュ固定を行ってきた. その理由は, 腟管の牽引方向がより生理的になり, 脱再発防止に役立つflap valve効果が得られやすいと考えたからである. また, 解剖学的破格が存在しても, 仙椎レベルでは安全なメッシュ固定が可能であった. 椎間板上でメッシュ固定を行っている一般的な術者においても, 同部での固定が困難な際のオプションとして, 仙椎レベルでのメッシュ固定について知っておくことは有益と思われる.

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