抄録
【目的】性分化疾患治療における腹腔鏡の有用性について検討した.
【対象及び方法】1992年4月から2012年12月までの間に当科で経験した性分化疾患症例19例に対する治療的腹腔鏡手術を,手術手技・合併症を中心に後方視的に解析した.
【結果】手術手技は性腺摘除術18例(両側13例,片側3例,部分切除2例),子宮摘除術2例,精巣固定術1例,S状結腸利用膣形成術1例であった.いずれの手術でも臍部以下に3~5ポートを挿入し,手術が行われていた.開腹移行症例はなく,全例で腹腔鏡下に手術を完遂可能であった.輸血を要した症例もなく,周術期合併症を認めなかった.4例で原疾患に対する診断的腹腔鏡の既往があったが,治療的腹腔鏡は問題なく施行可能であった.
【結語】性分化疾患に対する治療的腹腔鏡は,安全で有用な手技である.