Japanese Journal of Endourology
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特集4:Focal Therapy 局所療法
序文
三木 恒治
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2014 年 27 巻 2 号 p. 308

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抄録

 局所療法(Focal therapy,FT)は,癌病巣だけをピン・ポイントに治療することによって,癌の制御とともに臓器の機能温存を図り,低侵襲治療として治療に伴う合併症を軽減することで,治療の適応の拡大をはかり,患者さんのQOLを高めることが可能である.
 近年特にFTが注目されてきたのは,高齢化に伴い,様々な合併症を持つ,いわゆる手術ができないハイリスク症例の増加がある.またFTのmodalityとしては,手術療法,放射線療法,動注塞栓療法,ニューエナジーソースによるablationなどがあるが,それぞれの分野で技術革新がめざましく,以前は不可能であったFTを可能にしてきた.
 エナジーソースとしては,ラジオ波治療,凍結療法,レーザー照射,光線力学的治療(ホトダイナミック療法),高密度焦点式超音波療法(HIFU),Irreversible Electroporation(NanoKnife)など,選択肢が広がってきた.一方CT,MRIの進歩により,以前は穿刺できなかったような部位の穿刺が可能になってきた.さらに放射線治療もIMRT,サイバーナイフ,粒子線治療,さらには中性子捕捉療法(BNCT)なども導入され,適応の拡大が可能となってきた.
 そこで今回の特集では,泌尿器癌のfocal therapyの現状と今後の展望を取り上げた.まず健保でも認可された小径腎腫瘍に対する凍結療法をJR東京総合病院泌尿器科の波多野孝史先生に概説いただいた.さらに現在先進医療で申請され,多施設共同研究がされた腎癌に対するラジオ波熱凝固術 radio frequency ablation(RFA)を三重大学大学院腎泌尿器外科杉村芳樹先生に,また放射線医学総合研究所重粒子医科学センター辻比呂志先生には泌尿器癌に対する重粒子治療というテーマで先進的な治療をご紹介いただいた.
 また東海大学医学部付属八王子病院泌尿器科小路直先生に前立腺癌局所治療として,凍結療法,HIFU,小線源治療についてまとめていただいた.
 最後に京都府立医大鴨井和美先生に泌尿器癌転移巣に対する局所療法としてRFAの先進的な治療成績を解説していただいた.
 本特集を通して,会員の先生方に癌の局所療法の有用性をご理解いただき,癌治療のモダリティーとしてご活用願えれば幸いです.

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© 2014 日本泌尿器内視鏡学会
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