Japanese Journal of Endourology
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特集2:TURBTの工夫と新技術
Narrow band image補助下TURBT
立神 勝則
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2015 年 28 巻 2 号 p. 182-186

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抄録
 膀胱癌は約70%が表在性すなわち筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC;non-muscle invasive bladder cancer)であり, この場合は経尿道膀胱腫瘍切除術(TURBT;transurethral resection of bladder tumor)により完治が可能であるが,その再発率は50%以上といわれる.この原因のひとつに,腫瘍が膀胱内の様々な部位に発生する多中心性発癌であり,TUR時に確認できない腫瘍が時間を経て発育することが示唆される.また,粘膜下層まで浸潤するT1腫瘍に対しては,筋層への浸潤や残存腫瘍の見落としがあることも指摘され,TURの再施行(re-TUR,second TUR)が推奨される.内視鏡による微小癌病変の同定の限界はあるものの,腫瘍の残存がデバイスの機能や術者の技量に左右されることも事実である.
 近年,蛍光色素を利用した膀胱鏡やイメージングによる検出技術を利用した膀胱鏡が開発され,膀胱癌の診断や治療におけるその有用性が報告されている.Narrow Band Imaging(NBI)は,狭帯域化した光を利用したイメージング検出技術であることから,腫瘍検出のための光感受性物質の投与は不要で患者に与える負担も少ない.NBIによる膀胱癌の同定に関するこれまでの報告によると,NBIによる観察では通常の白色光(WLI;white light image)に比べ,特異度は劣るものの感度に優れ,陰性的中度が高いことから,除外診断に有用であるといわれている.またTUR時に使用することで,腫瘍の見落としを減らし,膀胱癌の再発に寄与することも報告されており,膀胱癌の診断や治療にその使用が広まりつつある.
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© 2015 日本泌尿器内視鏡学会
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