2018 年 31 巻 1 号 p. 84-88
肥満症例に対するロボット支援前立腺全摘除術 (Robot-assisted laparoscopic radical prostatectomy : RALP) は手技に難渋することがしばしばある. 今回RALP症例において内臓脂肪面積を測定し, 手術に対する影響を後方視的に検討した. 2015年1月から2016年8月まで愛媛大学でRALPを施行した98例の臍レベルの内臓脂肪面積を測定し, 100cm2以上であった57例と, それ未満であった41例と比較検討した. 患者背景では糖尿病の既往が肥満群に多い傾向があった. 手術時間, コンソール時間はいずれも有意に肥満群の方が長かった. また術中出血量が肥満群の方が有意に多かったが, 輸血症例は1例のみであった. 陽性断端など病理学的結果に差はなかった. 尿禁制は肥満群の方が悪い傾向であった. コンソール時間に有意に影響を与える因子は内臓脂肪面積とBMI, 体周囲長であった. 内臓脂肪面積の測定は手術時間の延長の予測因子となりえる.