Japanese Journal of Endourology
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特集3 : 腹腔鏡下仙骨膣固定術 (LSC)
腹腔鏡下仙骨腟固定術 : 1時間台で出来るLSC
持田 淳一吉澤 剛髙橋 悟
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2021 年 34 巻 1 号 p. 85-89

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抄録

 安全で治療効果に優れた腹腔鏡下仙骨腟固定術 (LSC) は他の術式に比べ難易度が高く, 手術時間が3-4時間と長くかかる点がデメリットである. 当科では負担軽減を目的に使用するデバイスや手技の工夫に取り組んでいる. まずデバイスとして手術用3D内視鏡システムは適度に解像度が良く奥行きがあり, 針の把持や運針・結紮などの操作感覚が優れており院内導入時より使用している. エネルギーデバイスはバイポーラタイプのソフト凝固による止血が有効である. また子宮頚部切断時や腟壁間の剥離時は, モノポーラ鉗子から出力するドライカットモード (混合切開モード) が凝固モードよりも切離時間が短くなり有効であった. 次にPOP-Q stage別のメッシュ固定法の定型化を行った. さらなる手技の工夫として子宮脱を有する症例に対してダブルメッシュ法のメッシュ固定部位である子宮頚部断端へ, 運針の替わりにTackerで打針固定する術式を2017年6月より導入した.

 今回, 2015年3月の腹腔鏡下仙骨腟固定術導入時点より単一術者 (泌尿器腹腔鏡技術認定医) による手術時間に関連する評価を後方視的に行った結果, 2017年6月-2019年9月のTackerを用いた子宮脱を有するPOP-Q stage Ⅱ, ⅢのPOP患者26例において, 手術時間 (中央値) が117分 (範囲75-164分) と1時間台に到達した. Tackerによるメッシュ固定導入後から3年目までの評価では, 腟尖部脱の再発やTackerに関連する疼痛などの訴えはない. 本術式は手技の簡素化により手術時間が短縮し十分な有効性も維持され, 高齢者へも対応可能な術式であると考える.

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© 2021 日本泌尿器内視鏡学会
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