救急救命士ジャーナル
Online ISSN : 2758-8459
Print ISSN : 2436-228X
原著
119番通報や携帯電話の操作に関する習熟度調査結果に基づく啓発活動の必要性
一柳 保
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2021 年 1 巻 3 号 p. 131-136

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抄録

【背景】院外心停止では,消防の通信指令員は通報者に対して口頭指導が円滑にいくよう電話機のスピーカー機能を促している。【目的・方法】119番通報時の口頭指導の状況,携帯電話の使用方法の習熟度,これらの調査結果をふまえた救命講習会の検討を行うこととした。【結果】口頭指導時のスピーカー切り替えの成功率は28.6%と低値で,切り替えの成否は胸骨圧迫開始に影響することがわかった。また,スピーカー切り替え操作の調査ではフューチャーフォンで成功した人は18.5%と低値であった。これにより,救命講習会では受講生が普段使っている携帯電話で通報して口頭指導を受けるシナリオ形式での実習を取り入れた。【結論】119番通報時や平時においても,多くのケースでスピーカー切り替え操作がうまくできないことが判明した。救命講習会では操作手順や口頭指導を受けることを想定した実習を行うことが効果的であり,この経験は応急手当実施の一助となり得る。

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