救急救命士ジャーナル
Online ISSN : 2758-8459
Print ISSN : 2436-228X
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原著
  • 西 大樹, 髙田 康平, 油田 充代
    2025 年 5 巻 2 号 p. 82-87
    発行日: 2025/06/20
    公開日: 2025/06/20
    ジャーナル フリー

    【目的】院外心肺停止に対して救急隊が行う呼吸管理について,訓練人形を用いて気道確保器具挿入中の無換気時間と非同期CPR中のBVM換気インターバルを明らかにする。【方法】石川県MC協議会,白山野々市広域消防本部で行われた訓練動画データを収集,上気道デバイス挿入中の無換気時間と非同期CPR中のBVM換気インターバルを計測し,呼吸管理精度について比較検討する。【結果】上気道デバイス挿入中の換気中断時間は,中央値で46秒(35-64)であった。また,非同期CPR中における6秒に1回の適正換気率は38.4%であり,救急救命士は救急救命士以外の救急隊員と比較して,適正換気率が有意に低かった(29.5% vs 34.2%,p<0.01)。【結論】本研究において,上気道デバイス挿入中に長時間の換気中断時間が生じる,非同期CPR中のBVM換気が十分ではないといった結果が得られた。BVM換気に問題がない傷病者に対して上気道デバイスを挿入する場合は,十分に酸素化を行った後のデバイス挿入を考慮する必要がある。また,非同期CPR中のBVM換気には,呼吸管理に専念することができる救急隊員を当て,胸骨圧迫のリズムに合わせた11カウントでの換気の実施も考慮する必要がある。

  • 黒﨑 久訓
    2025 年 5 巻 2 号 p. 88-94
    発行日: 2025/06/20
    公開日: 2025/06/20
    ジャーナル フリー

    【目的】院外心停止傷病者の年齢と救急救命士によるアドレナリン投与割合との関連を検討すること。【方法】2017~2021年の全国ウツタインデータを分析した。年齢区分を8~12歳,13~15歳,16~17歳,18歳以上の4群に分け,救急救命士によるアドレナリン投与の発生割合を各年齢群で比較した。さらに,低年齢群を基準として各群間の発生割合差を推定し,合わせて,線形回帰にロバスト分散を組み合わせて各群間における調整発生割合差を求めた。【結果】570,744例を解析対象とした。低年齢群は高年齢群と比較して救急救命士からアドレナリンを投与される機会が少なかった。調整発生割合差は,8~12歳と18歳以上の間でもっとも大きかった〔調整発生割合差(95%信頼区間),18.5(16.4-20.6)〕。【結論】年齢と救急救命士からのアドレナリン投与割合との間に関連を認めた。低年齢群ほど,救急救命士からのアドレナリン投与機会が少なかった。

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