【目的】暑熱環境下での救急活動は救急隊員の体力が奪われるだけでなく，熱中症対策はきわめて重要な課題である。しかし，救急活動における救急隊員の冷却ベストの着用効果について明らかにされていない。救急隊員が冷却ベストを着用して，暑熱環境下で活動を行うことで，どの程度の冷却効果があるのかを検証した。【方法】救急隊員15名を被験者として，救急出動時において着用する救急活動服に冷却ベストを着用時と未着用時を比較した。比較項目は，舌下温，前額部温，SpO2値，脈拍数，収縮期血圧，唾液アミラーゼの6項目および評価アンケート調査を実施した。【結果】すべての項目において有意な差は認められなかったが，アンケート調査において顕著に涼しいとの回答を得た。【結論】冷却ベスト着用時と未着用時での暑さに対する心理的な不快感軽減に大きな効果があることが示唆されたことから，救急隊員にとって，心理的苦痛を和らげられる冷却ベストの活用は有効である。
