【背景】消防救急車の救急出動件数は年々増加傾向であり,病院救急車を用いた転院搬送の拡充が課題である。また,緊急自動車による緊急走行教育は十分に一般化されていない。【目的】緊急走行の安全管理講習会の効果と現状の安全管理教育体制を明らかにすることを目的とした。【方法】緊急走行に関する講習会を開催し,講習会の前後で講習に関する知識テストで評価した。また,緊急走行や救急車の運行にかかわる教育体制についてアンケート調査を行い集計した。【結果】期間中講習会に30名が参加した。救急救命士が27名(90%)であり,緊急走行の経験年数は4.3±7.0年であった。講習会前後での知識テストは講習会前22.0点(20–22),講習会後26.0点(25.5–27.5)と,有意に知識の向上がみられた(p=0.013,r=1.16)。教育体制の現状は「実施していない」施設が18施設(60%)であった。【結語】講習会による緊急走行に関する知識は向上がみられた。病院救急車による緊急走行に関する安全管理教育体制は施設間で大きなばらつきがあり,標準化が求められる。