日本臨床救急医学会雑誌
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原著
へき地・離島診療所における救急医療の実態とその課題
今道 英秋鈴川 正之
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2007 年 10 巻 6 号 p. 560-568

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抄録

目的:へき地・離島における救急医療の実態を分析し,課題について検討する。方法:平成17年3月に全国のへき地・離島の診療所の所長および勤務医師を対象に記名式の横断調査を行った。722名の所長(回答率79.2%),812名の勤務医師(同78.8%)から回答が得られ,歯科を除いた671診療所と医師670名について解析した。結果:休日・時間外の体制は,輪番制はわずかで3割には診療体制がなかった。虚血性心疾患,軽微な四肢外傷などは比較的よく対応されていたが,病院到着時心肺停止,骨折外傷などの対応は十分ではなかった。必要な診療能力をまとめた「へき地・離島医療マニュアル」については医師の4分の3が必要であると回答し, 3分の2が医療範囲が明確になると考えていた。結論:へき地・離島医療の向上には,医師に十分な教育を行うとともに,診療機器や休日や時間外の診療体制などの充実を行う必要があると思われた。

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© 2007 日本臨床救急医学会
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