日本臨床救急医学会雑誌
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原著
  • 福田 俊輔, 遠藤 拓郎, 大河原 啓文, 深堀 浩樹, 吉井 肇, 安藤 大吾, 小波本 直也, 吉田 徹, 平 泰彦, 藤谷 茂樹
    原稿種別: 原著
    2021 年 24 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    目的:高齢者施設入所者は重症化のリスクが高く,施設職員の急変時初期対応は重要である。われわれは,有料老人ホーム3カ所でのヒアリング調査に基づき作成した,高齢者施設職員向けの急変時対応教育プログラムの効果について検証した。対象と方法:このプログラムを用いて有料老人ホームの職員70名を対象に研修を行い,その前後でアンケート調査を行った。結果:55名でアンケートに回答が得られた。研修の前後で急変時対応に関する自信は有意に改善し(20.5 vs 25,p<0.001),知識を問う項目では6項目において改善を認めた(p<0.001)。 また,本研修への満足度も高く,本プログラムは有効であるが,一部の介護職員について学習効果が不十分と考えられた。結語:有料老人ホームの職員を対象としたヒアリング調査に基づき作成した本急変時対応教育プログラムは,高齢者施設における急変時対応体制の改善に有効と考えられ,継続的な改善と開催が求められる。

  • 冷水 育, 行岡 哲男, 佐伯 悦彦, 安部 充, 田口 裕子, 渡辺 淑子, 織田 順
    原稿種別: 原著
    2021 年 24 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,クリティカルケア領域の看護師による「始業前KYTカンファレンス」の効果とその要因を分析し,医療安全に資するか否かを明らかにすることである。 方法:“KYTカンファレンス”で用いた写真に対するコメントを撮影者と“KYTカンファレンス”記録で集計し,インシデントレポート数と比較,分析を行った。結果:コメント数は,写真1枚当たり撮影者1.6±0.95に対して“KYTカンファレンス”2.5±1.36(p<0.001)で,“KYTカンファレンス”を行うことで他者の考えを共有し,危険予知に広がりができた。インシデントレポート数は,“KYTカンファレンス”実施中38,前年50,実施前68,後55であった(p=0.032)。結論:“KYTカンファレンス”の結果,医療安全への関心と,看護師の環境に対する視点の広がりにより,安全行動につながったことでインシデントが減少したことが示唆された。

  • 谷崎 義生, 松本 正弘, 梅澤 厚志, 朝倉 健, 甲賀 英明, 栗原 秀行, 倉金 寛政, 坂上 勉, 高澤 大悟, 美原 盤
    原稿種別: 原著
    2021 年 24 巻 1 号 p. 16-27
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    目的:群馬県ではPSLSコース開催,t-PA施行可能病院の明確化,救急搬送脳卒中傷病者の事後検証などを継続し,救急隊活動の質向上に努めてきた。脳卒中・循環器病対策基本法が2019年12月1日施行され,それに対応してPSLSコースを改訂,現状の課題を検討した。結果:救急隊の脳卒中判断の質的評価は,感度82.5%,特異度97.2%と良好で,脳梗塞治療法進歩に対応したスクリーンとしてELVOスクリーンを導入した。同スクリーン研修会と同スクリーンを導入した最新版PSLSコースでも,テスト結果は受講後に有意に向上した。結論:最新版コースは,脳梗塞治療法の進歩と法律の施行に対応した教材であり,同教材を使用してCOVID-19蔓延期に対応した指導救命士を中心にして実施する少人数の研修も可能であることが強く示唆された。

  • ―示指法と母指法の比較―
    吉川 孝次, 安田 康晴, 二宮 伸治, 山本 弘二, 友安 陽子, 坂口 英児
    原稿種別: 原著
    2021 年 24 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    修正下顎挙上法には母指法と示指法がある。JPTECTMガイドブックや救急救命士標準テキストに母指法が記載されているが,JPTECTMプロバイダーコースでは母指法が実施困難であるとの意見がある。修正下顎挙上法の母指法と示指法,どちらの方法が最良か比較検討することを目的に以下の実験を行った。確実性と難易度は救急隊員29名に対し,高機能患者シミュレータを用い,気道確保の成功率と主観的に難易度を評価した。成功率は示指法(96.5±1.4%)と母指法(72.6±23.8%)で,母指法に比べ示指法が有意に高く,主観的な難易度の中央値は,示指法が4.0(4.0-4.5),母指法が2.0(2.0-3.0)で,母指法に比べ示指法が有意に難易度が低かった(p<0.05)。下顎挙上時に加わる下顎角への平均圧力は,示指法(116.8±55.9kPa),母指法(72.5±32.7kPa)で,示指法が母指法に比べ有意に高かった(p<0.05)。示指法は母指法に比べ確実性が高く,難易度が低いのは下顎角への圧力が高かったからと考えられた。よって,修正下顎挙上法は示指法を推奨すべきである。

  • 大根田 純, 久村 正樹, 中根 淳, 小林 芳春, 福島 憲治, 伊藤 博之
    原稿種別: 原著
    2021 年 24 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    救急領域の医師・看護師は心的外傷的出来事を経験していると報告されている。診療放射線技師においても救急撮影に従事する者は同様に心的外傷的出来事を経験していると推察されるが,その実態について報告は見受けられない。目的:救命救急センターを擁する当院に勤務する診療放射線技師における心的外傷的出来事の実態を明らかにすることを目的とした。 方法:当院の倫理委員会承認を得たうえで,同意の得られた当院の診療放射線技師を対象に救急領域の医師・看護師の先行研究で用いられていた調査項目を用いて無記名アンケートを実施した。結果:救急撮影に従事する診療放射線技師の心的外傷的出来事の経験率は88.2%であった。考察:心的外傷的出来事の経験率は医師,看護師と同様に高い傾向にあった。惨事ストレスにさらされている可能性があり,診療放射線技師に対する惨事ストレスの評価と対策を行う必要があると考えられた。

調査・報告
  • ―パイロット研究―
    吉廣 尚大, 櫻谷 正明, 高場 章宏, 河村 夏生, 筒井 徹, 加藤 之紀, 吉田 研一, 橋本 佳浩
    原稿種別: 調査・報告
    2021 年 24 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    背景:ゾテピン(以下,ZTN)は糖尿病に使用できるが,集中治療室(以下,ICU)せん妄に使用した報告はない。目的:ICUせん妄患者にZTNとクエチアピン(以下,QUE)を比較し効果と安全性を評価すること。方法:単施設前向きコホート試験で,初回投与翌日せん妄症状改善と最大血糖値180mg/dL以上の患者割合を評価した。結果:20例を組み入れ, 11例をZTN群に割り付けた。ZTN群の9例が糖尿病であった。初回投与翌日せん妄症状改善の患者割合はZTN群で54.5%(n=6),QUE群で66.7%(n=6)であった(p=0.67)。内服後最大血糖値180mg/dL以上の患者割合は63.6%(n=7),66.7%(n=6)であった(p=1.00)。 結論:ZTNは有害事象を増やさずにQUEと同程度にせん妄症状を管理できることが示唆された。

  • 山崎 朋子, 森田 泰正
    原稿種別: 調査・報告
    2021 年 24 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    目的:発熱患者の受け入れにあたり看護師がqSOFAスコアを算出し,緊急度判定および検査・治療の補助に活用する取り組みを開始したことから,肺炎患者を調査しその効果について検討した。方法:救急外来到着時のqSOFAスコアが2点以上で,血液培養が採取され肺炎と診断されたのち点滴による抗菌薬投与が行われた患者に対して,初療室で初回抗菌薬が投与された割合と,来院から抗菌薬投与開始までの時間について導入前後を比較した。結果:対象は導入前32名/ 導入後30名,初療室で抗菌薬が投与された割合は53.1%/86.6%(p=0.0041),抗菌薬投与開始までの平均時間は109±55分/82±25分(p=0.04)であった。考察:qSOFAスコアを緊急度判定に反映させ,培養検体を迅速に採取することなどにより,予後の改善には至らないまでも患者来院から抗菌薬投与までの時間を有意に短縮することができた。

  • 泥谷 朋子
    原稿種別: 調査・報告
    2021 年 24 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    救急車利用件数は年々増加傾向にあり,救急車利用の適正化を図ることが喫緊の課題とされている。総務省消防庁の調査では,救急出動件数全体の約50%は軽症者と報告されている。本研究では,大学生の救急車利用実態をA病院の救急外来診療記録(2年間分)を活用して分析した。受診理由は交通外傷,スポーツ外傷,物理的外傷が約45%を占めていた。救急外来受診時のJTASレベルは「低緊急」と「非緊急」が約50%であり,入院事例は約10%であった。分析の結果,大学生の救急搬送の50%は救急要請「不要」と判断された。さらに,B大学の94名の大学生(非医療系4年次生)を対象に自記式質問紙調査により急病時の受診に関する認識・行動について調査を行った。76.6%の大学生が38.5℃以上の発熱を重症と受け止め,急な症状が出現した場合「受診を考える」と回答した大学生が62.8%であった。自身の急性の身体症状や急病時の対応に関する大学生の知識は不十分であることが明らかとなった。

症例・事例報告
  • ―プロポフォール注入症候群を再考する―
    友田 昌徳, 柳瀬 豪, 前谷 和秀, 松永 俊太郎, 龍神 香好, 西田 崇通, 則尾 弘文
    原稿種別: 症例・事例報告
    2021 年 24 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    既往歴のない38歳男性が痙攣を主訴に救急搬送され,症候性てんかんの診断で前医へ入院となった。第2病日,悪性症候群疑いで当院へ紹介となった。来院時,痙攣発作および筋強剛は認めず,38℃の発熱と炎症反応上昇(WBC 21,300/μL,CRP 32.5mg/dL),高CK血症(50,985U/L),ミオグロビン尿を認めた。身体所見,全身CT検査,髄液検査で感染症を示唆する所見は認めなかった。前医でプロポフォールが200mg/時間で40時間以上持続静注されていたため,プロポフォール注入症候群を疑った。プロポフォールを中止したところ,すべての臨床症状および検査所見の改善を認めた。なお,本症例では診断基準の1つとして知られている代謝性アシドーシスは認めなかった。集中治療領域以外でもプロポフォールが使用される機会があり,われわれ救急医・集中治療医がその合併症について広く啓発していく必要がある。

  • 後村 拓眞, 今 明秀, 横森 良平, 野田頭 達也, 今野 慎吾, 近藤 英史, 田中 航, 伊沢 朋美
    原稿種別: 症例・事例報告
    2021 年 24 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    心原性院外心停止に対して病院前でextracorporeal cardiopulmonary resuscitation(ECPR)を施行し,良好な予後を得た1例を経験したので報告する。症例は52歳,男性。職場で作業中,胸部不快感を自覚後に卒倒し,心肺停止状態となり救急要請された。Bystander cardiopulmonary resuscitation(CPR)が施行され,automated external defibrillator(AED)が2回作動したが,救急隊が接触した際の初期波形はventricular fibrillation(VF)であった。 当院から移動緊急手術室ドクターカーを出動させ,現場直近の消防署で救急隊と合流し,病院前でextracorporeal membrane oxygenation(ECMO)を導入した。従来どおり院内でECPRを施行した場合と比較して,心停止からECMO確立までの時間をおよそ13分短縮でき,cerebral performance category(CPC)score 1の状態で第18病日に退院した。

  • 山本 隆裕, 小田 泰崇, 戸谷 昌樹, 河村 宜克, 金田 浩太郎, 藤田 基, 鶴田 良介
    原稿種別: 症例・事例報告
    2021 年 24 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis;DKA)を併存した偶発性低体温症(accidental hypothermia;AH)が感染症を併発すると重症化する可能性があるが,DKAが併存したAH症例に関する報告は少なく,特徴や治療戦略は明らかとなっていない。今回,当センターへ搬送され入院となったDKAが併存した非外因性屋内発症AH症例のうち,入院後に敗血症性ショックを合併した3症例を経験した。3症例ともに来院時HbA1cが高値であり,血糖コントロール不良であったことが感染症増悪に寄与したと考えられ,低体温の作用が重なることによってさらなる免疫抑制をきたし,感染コントロールが不良になったと推測された。DKAが併存したAH症例では,感染症が重篤化し,敗血症性ショックを合併する可能性があるため,感染源の検索と感染症治療の早期開始が重要である。

  • 芥川 晃也, 櫻井 聖大, 深水 浩之, 松尾 悠史, 山田 周, 渋沢 崇行, 清水 千華子, 北田 真己, 原田 正公, 高橋 毅
    原稿種別: 症例・事例報告
    2021 年 24 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 2021/02/28
    公開日: 2021/02/28
    ジャーナル フリー

    症例は63歳,男性。1年前より食事時の咽せを自覚していた。誤嚥性肺炎と横紋筋融解症に伴う急性腎障害の加療目的に当院入院となった。抗菌薬投与と連日の透析治療を行い,入院8日目に嚥下内視鏡検査を行ったところ,咽頭後壁の膨隆があり,声門部が視認困難であった。頸椎CTではとくにC2-C4レベルで椎体前面の骨棘形成が顕著で,びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis;DISH)の診断となった。入院時より睡眠時のいびきがあったが,気道狭窄音が目立つようになったため,入院13日目に気管挿管を行い,のちに気管切開を施行した。最終的に頸椎骨搔爬術を行ったことで,上気道の狭窄が解除され気管孔を閉鎖でき,嚥下障害も改善した。DISHはまれな疾患ではなく,頸椎病変を伴うDISHは,嚥下障害や誤嚥性肺炎,上気道狭窄の鑑別疾患として重要である。

編集後記
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