日本臨床救急医学会雑誌
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原著
救急救命士の基本的観察・処置能力の現状
一再教育の必要性とその時期一
竹中 ゆかり郡山 一明
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2011 年 14 巻 4 号 p. 483-486

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抄録

目的:アドレナリン投与実施のための薬剤追加講習の受講者は,BLSや基本的な観察・処置ができない者が少なからず存在したことから,経験年数と手技の成否の関係を調査した。方法:追加講習を受講した経験年数1~15年の救急救命士410名を対象とし,観察能力および処置についてシミュレーター人形を用いて調査した。また資格取得後の経過年数との関係を調べた。結果:ほとんどの手技能力が不十分であった。頸動脈触知・下顎挙上・BVM換気は経験年数と負の相関があり,低下に有意差があるのは5~6年目であった。静脈路確保は早期から技術が低下していた。結論:救急救命士は職場環境からスキルの維持が困難で,5~6年目で手技能力の低下がみられることから,5年目をめどに再教育の必要性があると思われた。

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© 2011 日本臨床救急医学会
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