2013 年 16 巻 2 号 p. 140-145
症例:17歳男性。体育の授業中に心肺停止となり,心肺蘇生および除細動にて9分後に自己心拍再開した。来院時はGCS E1V2M2で心室性期外収縮が頻発していた。人工呼吸管理のうえ低体温療法(34℃,12時間)を施行した。筋力低下や外見,ミオトニアなどから筋強直性ジストロフイーと診断した。外見上は母からの遺伝が疑われたが未発症だった。電気生理学的検査で心室細動が誘発され,植込み型除細動器が植込まれた。第67病日に退院し,学校生活に復帰した。考察:健康と思われていた高校生に前触れなく心室細動が起きた。筋強直性ジストロフイーでは伝導障害や心機能低下がみられるが,まれに心室細動を発症してから初めて本症と診断されることがある。遺伝性で,世代を重ねるごとに発症年齢が早まり重症度が増すため,本例のように両親に既知の家族歴がないこともありうる。一見して健康な未成年の中にも潜在的な心室細動のハイリスク者がいるという認識が必要である。