日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
常用薬による症状・徴候が原因と考えられる緊急入院症例の解析に基づく薬剤管理指導業務の検討
寺西 正充森山 史就原 直之安食 健一園山 智宏横手 克樹平野 榮作後藤 澄子岩成 治
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2014 年 17 巻 5 号 p. 670-674

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抄録

常用薬の服用に関連する緊急入院症例に対する薬剤管理指導業務の内容を検討し,今後の業務改善に役立てることを目的として,2010年1月から2012年12月までの3年間に入院した患者について発現症状と原因薬剤,薬剤師の介入などを後方視的に調査した。入院症例数は10,152例,常用薬の服用を確認できた症例は4,095例,常用薬による症状・徴候が原因で入院したと思われる症例は142例,薬剤師が積極的に原因究明に介入した症例は31例であった。主な原因の多くは副作用(疑い)で,発現症状は電解質異常,循環器障害,出血徴候などが多かった。その原因薬剤として,血圧降下薬(利尿薬を含む),漢方薬,血液凝固阻止薬,抗血小板薬,糖尿病用薬などがあった。薬剤師が介入して常用薬や服薬状況などの情報を収集・評価して医師へ情報提供することで,より的確な診断と治療を行うために有用であるとともに医師の業務負担の軽減につながると推察された。

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© 2014 日本臨床救急医学会
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