抄録
近年,わが国の高齢化は急速に進み,高槻市も同様に超高齢社会を迎えている。それに伴い高齢者の救急需要は増し,ドクターカー(以下,特別救急隊)の出場も増加の一途をたどっている。この現状を踏まえ,高齢者福祉施設で発生した心肺停止(cardiopulmonary arrest,以下CPA)に対する特別救急隊運用の現状と今後の課題を考察した。対象は平成22年からの3年間に高槻市で発生した高齢者福祉施設でのCPA症例147件で,救急活動記録票をもとに検証した。147件に対して特別救急隊が出場した症例は80件であった。また,80件中1カ月生存は2名のみであり,9名が特別救急隊同乗医師により現場死亡確認に至っていた。高齢者福祉施設で発生したCPA症例に対する特別救急隊出場は,傷病者予後に関して意義を認めなかったことから,今後,特別救急隊同乗医師による現場死亡確認も特別救急隊出場の意義の一つになる可能性があると考える。