日本臨床救急医学会雑誌
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救命救急センターにおけるソーシャルワーカー専従配置3年の実践報告
〜「専任から専従へ」その効果と課題〜
中村 球恵佐藤 美佳
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2014 年 17 巻 5 号 p. 716-723

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抄録

はじめに:救命救急センター(emergency center,以下ECと略す)の患者へのソーシャルワーカー(social worker,以下SWと略す)介入件数は年々増加傾向にある。これは病状が重篤であるうえ,その社会的背景も複雑化・多様化しているためと考えられ,円滑な病床回転にはSWの重点的介入が必要である。当院の実践:専従配置は,病院全体のSW増員なくしてその人員確保はできない。当院では2005年よりEC専任配置を開始し,以降5年間SW正職員増員計画に取り組んだが実現できなかった。しかし2010年より大学医学部に寄附講座が開設したため,その枠でSWを増員することができ,専従を開始できた。専従後の変化:SW介入患者数の増加,入院〜SW介入までの日数の短縮化,SW介入患者の平均在院日数の短縮化,を認めた。考察:効果として①病棟との密な連携,②患者家族への早期介入,③長期入院患者の減少に貢献等が挙げられる。結語:SWのEC専従配置は有効である。専従の定着のためには,SW配置基準について診療報酬への位置付け等を求める必要がある。

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© 2014 日本臨床救急医学会
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