緊急または早期に整形外科手術が必要な患者が,当院での手術実施が困難なため転院となった事例や受け入れが困難となった事例を手術不応需例として調査しその原因を検討した。最近一年間での手術不応需例の累計は141例であり,外傷・骨折の症例が大部分であった。不応需の理由としては「手術枠確保が不可能で早期手術困難のため」が最も多く92例(65%)であり,ついで「他科が手術中のため,手術室を利用できないため」が26例(18%)であった。大部分の手術不応需例は必要な手術枠を確保できないことが原因であった。今回の調査では,手術不応需のため収容できなかった事例のみならず受診・収容後に早期転院となった事例も検討し,当院の医療体制の問題点を明らかにできた。救急医療・急性期医療の評価において,手術不応需例の調査が臨床指標として活用されることが期待される。