2015 年 18 巻 6 号 p. 723-728
目的:わが国の小児病院前救護に関する教育の実態は不明である。小児病院前救護に関する教育の課題を抽出するために本研究を行った。方法:2013年6月にわが国の消防本部を対象に小児病院前救護に関するアンケートを施行し,そのうち教育に関する部分を抽出し解析した。結果:多くの項目で小児病院前救護に関する教育の必要性は認識されていた。一方で,教育が必要量の50%以上行われている(充足している)との回答は半数未満であった。また,救命救急センターの少ない地域では,多い地域に比べて教育の充足度が有意に低い分野が複数みられた。考察:小児病院前救護に関する教育の必要性は認識されているが,十分な教育がなされていない可能性がある。教育内容を再検討のうえで,処置基準や装備デバイスと一貫性をもった,効率的なoff the job trainingを行う必要がある。