日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
症例・事例報告
散弾による銃創の2例
一弾片残留と鉛血中濃度―
佐藤 太―郎森浦 滋明松本 隆利永田 純一芥川 篤史高山 祐一平野 篤志
著者情報
キーワード: 散弾弾片, 弾片残留, 鉛中毒
ジャーナル フリー

1999 年 2 巻 2 号 p. 253-257

詳細
抄録

猟銃暴発により散弾が多数の破片となり,全身に銃創を与えた2例を経験したので報告する。事故は試射場で起こった。猟銃を下方に向けて調整中に暴発し2人が被弾した。症例1:44歳男性。散弾銃の暴発により,頭部,頸部,左肩部,左腕の多発銃創で来院。X線診断および診察により部位,深さを診断し,全身麻酔下で26破片を摘出した。症例2:63歳男性。上記と同じ事故。両下肢多発銃創兼左緋骨神経麻痺で,全身麻酔下で31個の断片を摘出した。いずれも経過良好である。散弾による銃創の場合,たとえ直ちに生命に危険がなくても可及的に除去すべきである。まれながら米国においては長期体内残存による鉛中毒症例の報告がされており,もし弾片残存があれば定期的に血中鉛濃度を測定すべきである。

著者関連情報
© 1999 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top