2022 年 35 巻 2 号 p. 296-302
【目的】高齢者におけるロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除 (RARC) の安全性を検討する.
【方法】2018年1月から2021年5月までにRARCを施行した44例および開腹膀胱全摘除 (ORC) を施行した38例 (75歳以上はそれぞれ16例, 17例) の周術期成績を後ろ向きに解析し, 高齢者 (75歳以上) におけるRARCの安全性を検討した.
【結果】全群および高齢者群において, 出血量, 輸血率はRARCにおいて有意に低値であった. 高齢者/非高齢者の合併症 (Clavien-Dindo grade IIIa以上) 発生は, RARCで2例 (13%) /0例 (0%), ORCで8例 (29%) /2例 (10%) であった. RARCでの同合併症は高齢者2例のみに認めたが, 高齢者ORCよりは低率であった. 全群において, 高齢はClavien-Dindo grade IIIa以上の合併症発生のリスク因子であった. また高齢者群においては, 術式 (ORC vs, RARC) が合併症発生のリスク因子であった.
【結論】高齢者においても, RARCは比較的安全に施行可能であり, 膀胱全摘除の手術侵襲の軽減に有用と考えられるが, より慎重な手術操作, 周術期管理が望ましい.