回腸利用尿路変向術における尿管腸管吻合部の後腹膜化については, その臨床的意義は明らかではない. 本研究では2005年から2016年の間に回腸導管造設術および回腸新膀胱造設術を施行後に, 当科で定期CT検査を施行された223症例を対象として, CT画像における後腹膜化の有無と水腎症の発生率について後方視的に検討した. 後腹膜化されていない症例を7例に認め, うち5例において間欠的な水腎症を認めた. 単変量解析を用いて検討したところ, 後腹膜化されていない症例で, 有意に水腎症の発生頻度が高かった. 回腸利用尿路変向術において, 尿管腸管吻合部の後腹膜化は, 水腎症の発生を予防している可能性が示唆された.