Japanese Journal of Endourology and Robotics
Online ISSN : 2436-875X
特集1 : 前立腺肥大症に対する新規経尿道的手術―各術式のポイントとコツ―
前立腺肥大症手術に必要な解剖
遠藤 文康
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2025 年 38 巻 1 号 p. 2-5

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抄録

 本論説では, 前立腺肥大症手術における機能温存のための解剖学的理解と, それに基づく手術手技に焦点を当て解説する. 低侵襲手術療法 (MIST) であるPULやWAVE, さらに尿道温存を可能にするUrethral-sparing RASP (usRASP) の導入により, 尿禁制や射精機能の温存が可能になってきており, 機能とその責任解剖領域科が明らかになってきている.

 また, 従来は術後の一過性腹圧性尿失禁 (SUI) が問題となっていたHoLEPでは, オメガサイン技術やearly apical releasingといった手法を導入することで, 外括約筋を温存し, SUIの発生を低減する効果があると報告されている.

 射精機能温存については, 精阜周囲の温存が重要であり, TURPやPVPで高い射精機能温存率が達成されている一方で, HoLEPでは意図的に尿道温存がむずかいことから射精機能温存には限界が見られる. Aquablationはbutterfly cutにより射精機能を高い再現性で, 温存することができるとされている.

 これら解剖の知識と種々の手術の成績の知見を積み重ねていくことで, それぞれの術式でよりよい術後QOLを目指すことができると考えている.

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© 2025 一般社団法人 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
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