環境毒性学会誌
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室内毒性試験から得られる影響濃度を環境中の多様なマイクロプラスチック粒子濃度と比較可能な濃度に換算する方法
岩崎 雄一 上田 紘司内藤 航
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2024 年 27 巻 1 号 p. 46-52

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抄録

マイクロプラスチック粒子(MPs)の生態リスク評価において,粒径や形状等が一様なMPsを用いた毒性試験により求められた無影響濃度等の影響濃度を,粒径や形状等が多様なMPsが存在する環境中濃度とどのように比較するかは,大きな課題の1つである。本稿では,この課題に対応する方法として,オランダのワーゲニンゲン大学のKoelmans博士らのグループが提案する換算方法を,具体的な計算例とともに紹介した。当該方法では,まず,評価対象とする粒径範囲(デフォルトの粒径範囲:1–5,000 µm)を決め,想定する影響メカニズム(例:食物希釈や組織への移行)に応じて,生態学的に重要な指標(すなわち,評価に用いる濃度単位として体積や表面積)を選定する。これらを前提として,特定の生物種を用いた毒性試験から得られた影響濃度を,当該生物種が摂取可能なサイズ及び評価対象とする環境中のMPs分布(体積が生態学的に重要な指標とする場合,体積分布)を考慮して,多様な粒径や形状を持つMPsの個数濃度に換算する。さらに,この濃度に,同時に環境中に存在する摂取可能なサイズを超えるMPsの個数濃度を加算することで,環境中濃度と比較できる多様なMPsの影響濃度を推定する。当該換算方法には十分に検証されていない仮定も用いられており課題はあるが,より実態に即したMPsの生態リスク評価を実施するためには,当該方法も含めた複数の評価方法による評価を比較・検証しながら検討・議論を進めていく必要があるだろう。

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© 2024 日本環境毒性学会
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