日本食品工学会誌
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技術論文
抗酸化能をもつ糖質系食品素材の製造方法の開発
三輪 章志中村 恵美小林 昭一
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2011 年 12 巻 3 号 p. 99-105

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抄録
加工食品は,加熱工程や保存中に酸敗を受けやすいので抗酸化剤が使用される.しかし,天然物由来の抗酸化剤であっても利便性や安全性を完全に満足していない.そこで,加工原料として広く利用されている糖質系食品素材に酒石酸を添加して加熱処理だけで簡便に抗酸化能を付与できる技術を開発し,ANOX糖と命名した.ANOX糖を製造すると糖質系食品素材の抗酸化能が向上すると同時に,素材の褐変や酸味など食品素材として不適な特徴も付与される.本研究では,これらの加工原料として不適な特徴をできるだけ押さえて抗酸化能を向上させるANOX糖製造条件を検討した.その結果,特性として抗酸化能が10 μmol trolox/g以上,素材色調が明度60以上,酸味度が10.7以下のANOX糖が得られる製造条件として,①200℃,180分酒石酸1 g,②200℃,180分酒石酸0.5 g,③190℃,180分酒石酸1 gの3条件を見出した.
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© 2011 一般社団法人 日本食品工学会
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