日本食品工学会誌
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解説
有機酸存在下での焙焼処理によるデンプンへの抗酸化能付与
三輪 章志
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2013 年 14 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

DPPHラジカル消去能により抗酸化活性を測定したデンプン素材は,コーンスターチと有機酸を焼成して製造され,ANOX糖(抗酸化糖)と命名した.焼成温度と時間は170°C,60分に固定され,使用される有機酸は,様々な種類の中から適切なものを選択した.フィチン酸ANOX糖は,抗酸化活性の最も高い値を示したが,素材の色がほとんど黒であったため,値が2番目だったL-酒石酸を選択した.L-酒石酸-ANOX糖素材の安定性を検討した.ANOX糖の抗酸化活性は,温度,光および(α-アミラーゼ,グルコアミラーゼ)酵素反応に対して安定していた.しかし,ANOX糖の抗酸化活性は,水分やpHに対して安定していなかった.ANOX糖の抗酸化活性は,沸騰水または,窒素ガスでの処理やpH調整によって安定する.

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© 2013 一般社団法人 日本食品工学会
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