日本食品工学会誌
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解説
非対称貫通型マイクロチャネル乳化の開発と乳化プロセスのCFD解析
小林 功
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2013 年 14 巻 4 号 p. 147-154

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抄録

本稿では,非対称貫通型マイクロチャネル(MC)乳化と乳化プロセスのComputational Fluid Dynamics(CFD,数値流体力学)解析に関する筆者らの研究について概説した.円形MC(入口側)とマイクロスロット(出口側)が連結した非対称構造の貫通型MCアレイは,従来のMCアレイと比べて液滴生産性と液滴作製の安定性ともに優れた高性能なMC乳化デバイスである.単結晶シリコン製の非対称MCアレイは,深堀イオン性反応エッチングによる複数回行うことにより精密に加工された.まず,非対称貫通型MC乳化デバイスの開発と基礎特性について概述した.適切な表面処理が施された非対称貫通孔型MCアレイを用いることにより,単分散エマルションを非常に高い分散相流速(>1,000 L/(m2 h))で製造することができた.次に,非対称貫通型MCアレイを利用した単分散食品用エマルションの製造および得られたエマルションの安定性評価について紹介した.さらに,非対称貫通型MCを介して液滴作製に関する三次元CFDシミュレーションにより得られた成果についても概述した.液滴作製における液滴離脱プロセスは,スロット内外における分散相内圧のバランスで説明できる3つの重要なステージから構成されていることを見いだした.

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© 2013 一般社団法人 日本食品工学会
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