日本食品工学会誌
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食品用乳化剤の分子集合体と応用
大友 直也
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2003 年 4 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

食品はお互いに混ざり合わない成分が混在し, そこには無数の界面が存在する.食品用乳化剤はその界面に対して作用し, 単に油と水の乳化に留まらず様々な機能を発現する.また, 多くの場合乳化剤は何らかの複合体を形成し機能していると考えられる.乳化剤の食品中での機能を理解するには乳化剤の構造, 物性への理解が不可欠である.ショ糖脂肪酸エステルの分子形状をπ-A測定により調べた結果, モノエステルは親水基が大きな円錐状であり, ジ, トリエステルは円柱状に近い.この分子形状は界面膜の極率に影響し, 乳化型を決定する重要な因子となる.ポリグリセリン脂肪酸エステルは, 複雑な親水基構造に加え分子量分布を有するため, 特異な性質を示す.ポリグリセリン脂肪酸エステルについても分子形状の解析の試みがされている.これら乳化剤が, ミセル, ラメラ, 逆ミセル, キュービックなどの各分子集合体構造を以って食品の中で機能している例を解説した.

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