日本食品工学会誌
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超臨界流体を利用した天然物の分離精製プロセスの開発
後藤 元信
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2005 年 6 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

超臨界流体, とくに超臨界二酸化炭素を用いた天然物の抽出, 分離精製に関する著者らの研究を解説する.各種天然物からの動植物油, エッセンシャルオイル, 抗酸化物質, その他の生理活性成分の抽出に対して, 抽出速度と操作条件の関係を詳細に測定した.さらに, これらの被抽出物の超臨界二酸化炭素への溶解度の測定と推算を行った.これらの実験結果に基いて, 理論的研究を行い, 種々の数学モデルを提案し, 複雑な天然物の抽出挙動を解析, シミュレートした.
一方, 液体混合物の分離精製プロセスについては, 超臨界二酸化炭素向流抽出塔を用いて, 臨界点近傍での相挙動の特性を高度に利用した分離精製プロセスを開発してきた.対象物としてオレンジオイル, レモンオイル, ベルガモットオイルについて実験ならびに理論的に研究をしてきており, シトラスオイルの脱テルペンプロセスを確立してきた.また, 新規なプロセスとして超臨界二酸化炭素中での吸脱着挙動を有効に利用した「超臨界圧力スイング吸着プロセス」を開発してきており, エッセンシャルオイルの高度精製を連続で操作する技術の開発に成功した.さらに, トコフェロール類の分離に対しても分離精製法を検討した.

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