日本食品工学会誌
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レトルト殺菌における食品温度履歴の簡便な推定法
向井 勇
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2006 年 7 巻 3 号 p. 197-205

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抄録

個装容器詰め食品のレトルト殺菌においては, 食品中心部温度の予測は工業的に価値の高い課題である.従来この課題は伝熱方程式の数値解法などにより解かれてきたが, これらは食品製造業や機械・設備製造業のいずれの現場においても使いこなすには難しすぎるという現実があり, より簡便な手法が求められていた.本論文で提案する「雰囲気温度スライド法 (ATS法) 」は, 食品の中心部温度履歴を実測したデータから伝熱を支配する2つのパラメータを推定し, 次いで, このパラメータを用いて様々な雰囲気温度の下で対象食品物体の中心部温度がどのように変化するかをシミュレーションしようとするものである.本法は食品物体を格子点に分割することなく, 食品の中心部温度を雰囲気温度から直接求める点に特色があり, 表計算ソフトを用いて簡単に計算することが可能で, しかも計算量が大幅に削減される.本論文では, スプレー式レトルト殺菌機を用いた実験により雰囲気温度スライド法の検証を行なった.食品としては固体食品から液体まで物性の大きく異なる5種類の個装容器詰め食品を用い, いずれも良好な結果を得た.

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