2007 年 8 巻 4 号 p. 201-208
食品製造における品質革新に食品工学が果たす役割りは大きい.食品製造では, 矢野俊正東大名誉教授が指摘されたように, 1) 原料の組織・構造が一定しない.2) 品質評価の客観性が低く官能評価だけに頼っている傾向がある.3) 食品加工プロセスでは同時に複数の変化を食品にあたえるなど食品工学的な課題も多い.本稿では, 1) パン生地の混練状態の定量的把握, 2) レトルト殺菌の殺菌強度に与える因子の定量化, 3) 噴霧乾燥におけるフレーバー散逸の定量化を例に食品プロセスにおける食品工学の品質向上への役割りを示した.また, 地球温暖化対策の重要性が増す中, 食品の環境負荷低減を図る第1歩として, モデルメニューを設定して, 原材料の生産, 加工, 消費までの環境負荷をLCAで評価した.