2007 年 8 巻 4 号 p. 287-294
食品成分のもつ生理的機能性が多くの注目を集めている。例えば, 体内の酸化的ストレスは加齢とともに強くなり, 老化, がんなどにも関連することが明らかにされており, 抗酸化性に富む食品を摂取する推奨されている。にもかかわらず, 食品のもつ抗酸化性を総合的に評価できる確立した手法はない。本研究では著者らが開発したミオグロビン保護率によって抗酸化性を表す方法, レーダーチャートを用いて抗酸化性を総合的に評価する方法を茶飲料に適用し, その有効性を検証した。茶葉から抽出したお茶, 市販の茶飲料が示す抗酸化性は標準物質として用いたポリフェノール化合物と類似したレーダーチャートのパターンを示した。また, 抗酸化性の強さは従来法であるDPPH法を用いて測定したビタミンC相当濃度が同じ程度の値となるように希釈した場合の希釈率によって評価できた。以上の結果より, 種々の茶飲料の示す抗酸化性を特徴づけることができた。