日本食品工学会誌
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乳酸菌によるバクテリオシンの生産とそれらの火落ち関連腐敗細菌の増殖抑制への応用
石山 洋平高田 剛臣中西 利公金桶 光起渡邊 健一柳田 藤寿陳 奕伸高屋 朋彰田中 孝明谷口 正之
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2008 年 9 巻 4 号 p. 277-286

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抄録

我々は米タンパク質加水分解物 (RPH) を添加した麹汁培地を用いて, 新奇に単離した乳酸菌によるバクテリオシン生産について検討した.また, 生産されたバクテリオシンの清酒の腐敗に関連する細菌 (火落菌) に対する抗菌活性についても検討した.清酒より単離した火落菌の16S rRNA遺伝子の部分塩基配列は, Lactobacillus fructivorans, Lactobacillus hilgardiiおよびLactobacillus payacaseiと高い相同性を示した.バクテリオシン生産菌Enteyococcus durans C102901 (C102901) , Lactococcus lactis subsp.lactis C101910 (C101910) およびLactococcus lactis subsp.lactis NBRC 12007 (NBRC 12007) はRPHを添加した麹汁培地中で良好な増殖を示し, 高活性なバクテリオシンを生産した.C101910とNBRC 12007によって生産されたバクテリオシン溶液を培地に対して10% (v/v) の割合で添加した結果, L.fructivorans NBRC 13954Tの増殖は顕著に阻害され, その生菌数は, 4時間目には検出限界 (1.0×102cells/ml) 以下まで減少した.また, C102901, C101910およびNBRC12007によって生産されたバクテリオシン溶液を培地に対して1% (v/v) の割合で添加した結果, L.hilgardii NBRC 15886TとH130株 (単離した菌株) の増殖は殺菌的に抑制され, その生菌数は, 初期の生菌数と比較して, 培養4時間から12時間以内に3オーダー以上減少した.

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