水産海洋研究
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原著論文
土佐湾におけるニギス(Glossanodon semifasciatus)成魚の産卵期と0歳魚の成長
梨田 一也 阪地 英男本多 仁
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2007 年 71 巻 4 号 p. 270-278

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抄録

ニギスGlossanodon semifasciatus は,日本海及び太平洋中・南部海域に生息し,沖合底びき網漁業や,小型底びき網漁業の主要な対象種の一つとなっている.土佐湾において着業船の漁獲物の卵の成熟状態から産卵期を調べたところ,1月から4月にかけて主要な産卵期となるが, 10月から11月にかけてもわずかながら産卵していることが確認された.本研究において2002年4月から2005年3月まで毎月,調査船を用いて底びき型幼魚ネット(コッドエンド目合1.3mm)でニギスの0歳魚を採集した結果によって,当海域では「春生まれ群」が圧倒的に多いものと推定された.「春生まれ群」の被鱗体長のヒストグラムのモードを追跡した結果, 2002年4月中旬に約19mmの最小個体が採集され,4月頃から本格的に加入が開始された.被鱗体長でみると複数のモードが観察されたが,2002年4月から2003年3月まで主たるモードを追跡したところ,4月に約25mm,5月には50mm,6月には75mm,8月には90mm,10月には105mm,11月には110mm,そして翌年の3月には約140mmに成長するものと推定された.この結果は,日本海側で研究された満1歳魚の被鱗体長に比べると,いずれの研究結果よりも大きいが,この原因としては0歳魚の成育場の水温が太平洋側の方が日本海側より高いことによる可能性が考えられる.「春生まれ群」の0歳魚の月別加入量指数は年により大きく変動するが,この変動要因を究明するためにはさらに資料を集積する必要がある.

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© 2007 一般社団法人 水産海洋学会
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