2010 年 74 巻 1 号 p. 1-12
2004/05年南半球夏季に南極ロス海域において,特にオキアミと鯨類の関係解明を目的とした,生態系総合調査を実施した.水産庁開洋丸と南極海鯨類捕獲調査(JARPA)船団が共同して調査を行った.(1)海洋観測,(2)RMTによるプランクトンと魚類採集,(3)計量魚探によるオキアミ現存量調査,(4)高次捕食者(鳥類と鯨類)の目視調査,及び(5)クロミンククジラ標本採集の5項目を調査対象とした.多様な生物群集の分布と海洋条件との関係を理解するために,海洋学的指数として表面から200mまでの水温平均値(MTEM-200)を用いた.南北の水温傾度に沿って,プランクトン,魚類,鳥類及び鯨類それぞれの種組成が変化することが明らかとなった.生態系総合調査を通して得られたデータは,未知が多いロス海の海洋生態系の構造を理解するための基礎となる.