2010 年 74 巻 2 号 p. 88-97
マイワシ太平洋系群の加入量変動と環境変動との関係を調べた. 再生産関係を表すモデルとして, Ricker型,Beverton–Holt型,指数型,線形型,比例型のモデルを用い,それぞれ正規型,対数正規型の誤差分布を仮定した.モデルからの残差と月別環境指標との相関分析を行った.相関分析は期間の異なる2 つのデータセット(①全期間1976–2004と②全期間から加入量の激減した1988–1991を除いた期間)に対して行った.その結果,有意な相関を示す月,および環境指標は②よりも①のデータセットの場合に極めて多く検出された.このことは,1988–1991の加入の失敗が北極振動,太平洋10年振動,黒潮続流域などの海洋環境の変動により説明可能であることを示唆した.特に,産卵期間と考えられる期間(月)の環境指標との相関が高かった.今後,加入量の予測モデルの作成を試みる場合にこれらの環境要因が重要な指標になると考えられた.