2012 年 76 巻 1 号 p. 24-30
瀬戸内海中央部のアマモ場において小型魚類への捕食圧が夜間に高まるという仮説を検証することを目的として,魚種組成,稚魚の潜在的捕食者の個体数,バイオマスおよび胃内容物,さらに糸つなぎ実験によって得られた稚魚の生残率を調べて昼夜で比較した.アマモ繁茂期(2007年8月28日と30日)に巻き網を用いて合計494個体(30分類群)の魚類を採集した.夜間には日中に比べて魚食性魚類(全長>82.5 mm)の個体密度,バイオマスが大きく,アカメバルSebastes inermisおよびスズキLateolabrax japonicusの胃内容物からシロメバルSebastes cheni稚魚,アミメハギRudaris ercodesが認められた.捕食された稚魚の個体数と藻場に現存する個体数の比から試算した優占種シロメバル仔稚魚の夜間 (1930-2100 h) の被食率は5.1%であった.シロメバル稚魚を用いたアマモ場での糸つなぎ実験(6時間)による生残個体の割合は日中よりも夜間に有意に低かった.以上の結果から,稚魚のゆりかごと呼ばれているアマモ場は,夜間には一部の魚食性捕食者の摂餌場としての役割も果たしていることが示唆された.