ホスホマイシン(FOM)のマダイエドワジエラ症に対する治療効果を実験感染魚ならびに自然感染魚で調べた。愛媛県内の養殖マダイから分離されたE. tarda 67株に対するFOMの最小発育阻止濃度は 1~4 μg/mLであり,本剤に対する耐性株は確認されなかった。実験感染魚では,FOM 10~80 mg/kg/dayの範囲では投薬量の増加に伴い死亡率が低下し,FOM 40~80 mg/kg/day 6 日間の投薬により有意な治療効果が認められた。自然発症した死亡率の異なる養殖場のマダイにFOM 40 mg/kg/day を 6 日間投薬した結果,FOM投薬群の累積死亡率はいずれも無投薬群に比べ有意に低下した。また,投薬開始時の日間死亡率が低い養殖場の方が,投薬後の死亡率が低く推移した。これらのことから,FOMはマダイのエドワジエラ症治療薬として有効であり,効果を高めるためには出来るだけ早期の投薬が重要であることが明らかとなった。