2015 年 50 巻 2 号 p. 81-84
愛知県下の庄内川で2013年5月~10月に採集したアユにおいてイカリムシ寄生が6月上旬~9月中旬に確認された。寄生率は8月下旬に最大(64.3%)であった(平均寄生率12.8%,n=627)。寄生率と水温,および寄生率と被寄生魚の体長との間には正の相関が認められた。本虫の大部分は,各鰭基部に寄生していた。また,河川を遡上できず下流域に滞留した魚群に寄生が多いことが示唆され,イカリムシはアユ資源の減少に影響を与えている可能性がある。一方,アユ以外で寄生が確認された魚種(平均寄生率)は,ゴクラクハゼ(77.1%),カマツカ(10.0%),ボラ(2.8%)およびギンブナ(9.1%)であった。このうち,前3魚種は我が国におけるイカリムシの新宿主である。