日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
症例報告
アザシチジンによる架橋的治療後にHLA半合致末梢血幹細胞移植を行い完全寛解を達成した非定型慢性骨髄性白血病
後藤 実世福島 庸晃伊藤 真飯田 しおり河村 優磨鵜飼 俊佐合 健河野 彰夫尾関 和貴
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2021 年 10 巻 4 号 p. 183-189

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抄録

 30歳男性。胃部不快感を契機に,脾腫,白血球増多,LDH高値を指摘され,精査の結果,非定型慢性骨髄性白血病(atypical chronic myeloid leukemia,aCML)と診断された。Hydroxyurea単独の内服では腫瘍量制御が困難であったことから造血幹細胞移植を目的として当院へ転院した。aCMLは化学療法単独での腫瘍量制御が難しく長期生存のため造血幹細胞移植の必要性が報告されており,速やかに造血幹細胞移植を行う必要があると判断した。骨髄・臍帯血バンクでは適切なドナーが得られずHLA半合致の姉をドナーとした末梢血幹細胞移植を行う方針とした。移植前の架橋的治療としてazacitidine導入後より速やかな白血球数および血清LDHの低下を認めた。Azacitidine投与開始から18日目に前処置を開始し,24日目に移植を施行した。移植後17日目に好中球生着を認めた。皮膚GVHDを発症したが外用で改善し,移植後1年現在も完全寛解を維持している。aCMLに対してazacitidine療法後にHLA半合致末梢血幹細胞移植を行い,寛解を維持している症例は稀である。

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© 2021 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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