2016 年 51 巻 1 号 p. 8-14
ヒトにおいてみられる疾患と同様もしくは類似の疾患をモデル生物において探索し,その発症メカニズムを明らかにすることによってヒト疾患治療のための基礎研究となす試みが広く行われている。メダカはそのような疾患研究に活用されるモデル生物の一つであるが,メダカ自体の疾患に関する組織学的な報告例が限られているのが現状である。本研究では,ヒトにおいて頻繁にみられる嚢胞がメダカにおいても広くみられる疾患であるか検討した。メダカの体躯が小型であることを活かしてメダカ成魚の全身組織連続切片を作製し,全組織において病理組織学的に嚢胞の有無を探索した結果,嚢胞と考えられる組織病変をメダカ精巣および卵巣に高頻度に見出したのでここに報告する。