2016 年 51 巻 2 号 p. 70-74
伊豆諸島のフクトコブシから検出されたキセノハリオチス症原因菌(以下,キセノハリオチス)のクロアワビおよびメガイアワビへの感染性を同居攻撃試験で調べるとともに,感染率が大きく異なるフクトコブシ2群を長期飼育し,本菌のフクトコブシへの病原性を検討した。15ヶ月間のフクトコブシ感染貝との同居試験では,クロアワビおよびメガイアワビへの感染は認められなかった。また,感染率の異なるフクトコブシ2群を24か月間飼育した結果,累積死亡率は50%と53%であり,統計学的有意差は認められず,病原性も軽微であると考えられた。さらに,供試フクトコブシから検出されたキセノハリオチス 16S rRNA遺伝子の部分塩基配列は全て同一で,カリフォルニアのアワビ類から報告されているキセノハリオチスの塩基配列と一塩基異なっていた。