魚病研究
Online ISSN : 1881-7335
Print ISSN : 0388-788X
ISSN-L : 0388-788X
論文
ブリ類におけるべこ病の初期感染動態
柳 宗悦佐藤 純今岡 慶明川上 秀昌原川 翔伍米加田 徹中易 千早森 広一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 56 巻 2 号 p. 89-96

詳細
抄録

海面生簀で飼育されているブリおよびカンパチの体側筋中におけるMicrosporidium seriolae遺伝子とシストの出現状況を調査し,べこ病の初期感染動態を観察した。また,飼育海域海水中のM. seriolae遺伝子量の変化もモニタリングした。その結果,過去にべこ病の発生が確認された海域では,生簀周辺の海水から102~103 copies/L程度のM. seriolae遺伝子が継続して検出される時に種苗を導入すると,ブリでは約2週間で体側筋中にM. seriolae遺伝子が検出され,その後約1週間でシスト形成に至ることが判明した。また,M. seriolaeの感染は,冬季(11月から1月)でもブリとカンパチで確認され,感染時期がこれまで考えられていたよりも長いことが明らかとなった。一方,カンパチはブリに比べ本症の感受性が高い傾向が窺われた。

著者関連情報
© 2021 日本魚病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top