海面生簀で飼育されているブリおよびカンパチの体側筋中におけるMicrosporidium seriolae遺伝子とシストの出現状況を調査し,べこ病の初期感染動態を観察した。また,飼育海域海水中のM. seriolae遺伝子量の変化もモニタリングした。その結果,過去にべこ病の発生が確認された海域では,生簀周辺の海水から102~103 copies/L程度のM. seriolae遺伝子が継続して検出される時に種苗を導入すると,ブリでは約2週間で体側筋中にM. seriolae遺伝子が検出され,その後約1週間でシスト形成に至ることが判明した。また,M. seriolaeの感染は,冬季(11月から1月)でもブリとカンパチで確認され,感染時期がこれまで考えられていたよりも長いことが明らかとなった。一方,カンパチはブリに比べ本症の感受性が高い傾向が窺われた。